第2話 佐藤久美子、拉致
良雄のアパートの部屋は狭かったが、小綺麗だった。約束通り、良雄は久美子に何もしない。むしろ、久美子は、良雄が食事を奢ってくれて泊めてくれるので、悪い気がした。良雄は家出の理由を聞いた。久美子は、悲しくなって、正直に叔父に犯されたことを話した。秋田じゃあ、近親相姦なんてよくあるんだ?と良雄が言う。久美子は叔父が言っていたことを思い出して、よくあるかもしれない、と答えた。
良雄が、餅を焼いてくれた。悪い人じゃないかも?と久美子は思った。良雄が、悪いけど、俺、酒を飲むよ、と日本酒を飲みだす。秋田ってのは、日本酒のうまいのがあるんだってな?と聞かれた。久美子が、そのお酒何?と聞いた。黄桜、と良雄が答えた。黄桜?知らないな。秋田の酒とどう違う?と良雄がぐい呑みを渡す。久美子が飲んだ。秋田の女だから、高校生とはいえ、酒は強い。何か違う。秋田の酒と比べて甘い、と良雄に言う。甘いんだ、と良雄。ふ~ん。
餅が焼けた。のりを炙る。良雄は、久美子に気づかれないように、棚においてある目薬を手に持った。久美子用のぐい呑みに目薬を数滴垂らした。一升瓶から日本酒を注いだ。
まあ、マズイだろうが、秋田の女、飲めるんだろう?と久美子に餅とぐい呑みを渡した。良雄が乾杯!と久美子のぐい呑みに自分のを合わせた。久美子は、良雄に安心して、全部飲んでしまう。餅を食べた。半時間ほどして、久美子は視野がグルグル回ってきた。え?酔ったの?と思うが、頭が重い。だんだん眠くなる。横になってしまった。意識が遠のいた。
良雄は電話をかけた。「家出娘が一人。残念ながら叔父から強姦されたと言ってます。処女じゃない。でも、上物ですよ。取りに来てくださいな。え?俺は手を付けてません」
数十分して、ハイエースが良雄のアパートに着いた。男二人が降りてきて、久美子を抱えてハイエースに乗せる。久美子の口に、エーテルに浸したガーゼをのせる。これで明日までおねんねだ。
男の一人が良雄と値段交渉をした。良雄は手っ取り早く現金が欲しかったので、80万円で手をうった。
ハイエースは、東名を通って、西に向かう。目的地は、神戸港の廃棄された冷凍倉庫だ。
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意識を取り戻した佐藤久美子は、周りを見回した。すぐ横に裸の女性がマットレスに仰向けになっていた。目が虚ろだ。その向こうに、自分と同じ年くらいの少女が、69でお互いの陰部を舐めあっていた。彼女らも裸だった。なんなの?ここは?
隣の女性は久美子が意識が戻ったのに気づいた。ああ、起きたのね?と興味なさそうに言う。ここはどこなんですか?なぜ、三人とも裸なの?彼女たちは何をしてるんですか?と久美子は女性に聞いた。彼女の目の焦点が合っていない。瞳孔が開いている。ヨダレを垂らしていた。
「え?裸って?ああ、私らをさらってきたヤツラが服を剥ぎ取ったんだ。服はあるんだ。隅に転がってる。でも、どうせ服を着たって、ヤツラが来たらまた脱がされるんだ。同じことなのよ」
「ここはどこなんですか?私はさらわれたんですか?」
久美子が聞くと、女性が部屋の壁を指差した。床はリノリューム張りで、天井や壁は白くコーティングされた金属パネルだ。やけにだだっ広い。空の鉄のラックが何列もあった。女性の指さしたのは、出入り口のドアの上だ。そこには『マグロ、第六冷凍庫』と書いてあった。マグロ?冷凍庫?
「ここは、港にある冷凍倉庫のようよ」と彼女が言った。「ああ、あの二人?彼女たちは、私よりもここに長くいる。覚醒剤かヘロインを打たれておかしくなってるのよ。私もだけどね。ヤツラは、食事の時、私たちをここから出す。食堂に連れて行って、ヤクを注射する。オ◯ンコにヤクの粉をなすりつける。それで、私たちを犯して、粉をなすりつけてここに戻す。彼女たちは、今、お互いのオ◯ンコに残ったヤクの粉を舐めあってるんだ。ヤクが切れるとそうなる。その内、私のも舐めに来るんだ。あんた、処女なの?見たところ高校生みたいだけど?」
「ハ?処女?・・・処女じゃないですけど・・・」
「そうなの。だったら、ヤツラにオ◯ンコもやられちゃうね。私みたいに。あの二人は処女だから、ヤツラはケツしか犯さない。ヤツラのいうには、処女のほうが高く売れるって話。私は違うから、ヤツラに前と後ろを犯されるんだ。あんたも私と同じだね。前と後ろから同時に。でもさ、ヤクを打たれてるんで、キメセクだから、普通のセックスなんて目じゃなくなるんだ。数日で、ヤツラが来るのが待ち遠しくなってくるのよ。あんたもそうなる。可哀想に」
「ヤツラって誰なんです?キメセクってなんなんです?私、怖い」
「え?ヤツラ?ヤツラはね、マフィアだよ。私を抱いている時にヤツラが教えてくれた。私たちは、この神戸港から船で密航させられて、香港に売られるんだそうだ。キメセク?キメセクというのは、薬物セックスのこと。ヤクを打たれてセックスすることだってさ。もうね、際限なく逝っちまうんだ。普通のに戻れなくなるんだ。あんたもそうなる」
「ほ、香港?売られる?それ、人身売買のこと?」
「そうだよ。なんでも、私たち日本人の女は、中国人とかフィリピン人よりも高く売れるらしい。何百万円も1千万円以上でも買うヤツがいるそうだ」
「売られたらどうなるんです?」
「わからない。でも、どうせ、ここと同じだろ。ヤクを打たれて、セックスの奴隷になるんじゃないか?売春させられたり。私たちを買う客は、中国人だけじゃなくて、石油成金のアラブ人とか、欧米人もいるそうだ。香港から転売されて、中東やヨーロッパにも出荷されるんだってさ。もう一人来るのかもしれない。ヤツラが言うには、5人になったら出荷する、って話。もう、私たちはダメだ。あんたも諦めたほうが良いよ」
女性は久美子に興味がなくなったようだが、手足のロープはほどいてくれた。それで、仰向けのまま、天井を見るばかりで、久美子が話しかけても答えてくれなくなった。他の二人は、ずっとお互いの陰部をチュウチュウ吸い続けている。
私もああなるの?と久美子は思った。仏様、神様、お助け下さいと久美子は思った。叔父に犯され、家出して、私はなんにも悪いことをしてないじゃない!なんで、私がこんな目にあわなければいけないの?久美子は泣いた。隣の女性が虚ろに久美子が泣くのを眺めていた。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーンを含みます。
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