第11話
半年が経過し移動の準備が整った。
燃料の貯蔵庫も10個全てが満タンの状態だ。
これで燃料の心配をしなくてもいいだろう。
配置していた燃料の収集ツールなども全て回収し移動しながらでも燃料を出来るだけ集める方針だ。
「さてと。では移動しますかね」
幸繁はそう言って地球から離れるルートを選択して移動を開始した。
移動しながら出来る範囲で通りかかった星の情報を集める。
残念ながら住めそうな星は存在していない。
本当に移住可能な星なんてあるのだろうか?
そんなことが頭の隅をよぎる。
こう暇だと良くないことばかりを考えてしまう。
こういう時は寝てしまうのが一番かもしれない。
搭載されているAIは優秀であるので問題が起きたら起こすように指示を出して幸繁は仮眠を取ることにした。
3時間ほど眠った頃、AIに起こされる。
何か問題でもあったのだろう。
幸繁は端末を立ち上げ何が起きたのかを確認する。
「なるほど・・・。宇宙にはこういう災害もあるのか」
AIが問題視したのは宙域の異常だった。
どうやら宇宙版の嵐のようなものが進行ルートで確認されているようだ。
このまま進めば巻き込まれ設備が損傷する可能性がある。
幸繁はデータの収集をしながら設備を停止させ迂回できないか確認する。
この宇宙嵐とも呼べる現象はかなりの広範囲で起きているようだ。
迂回しようと思ったらかなり大回りをする必要があることがわかった。
ここでできる選択肢は2つだ。
損傷を覚悟で侵入するか燃料を大幅に消費するが迂回するか。
トキノリは無用なトラブルを避けるために大回りする選択肢を取った。
大回りをしたとして現状問題になるような状況ではない。
それに大回りするといっても全くデータのない宙域だ。
迂回中に取れるデータも貴重なデータになるだろう。
幸繁は食事を取りつつ寝ている間に集まったデータを確認する。
いくつかの星を通過したようだがそれでも収集したデータによると人が住める環境ではなかった。
ここまで住める星がないと創作物に出てくるコロニーなどを作った方が早いのではないかと思えてしまう。
酸素や水はどこかから集める必要があるがそれだけなら集めることも不可能ではない。
現に幸繁は惑星に降下して酸素の確保に成功しているのだから。
野菜だけではあるが食料の生産にも成功している。
家畜を飼うとなるとかなり難易度があがるだろうがそれでも不可能ではないだろう。
最近では代替肉の技術もかなり進歩している。
大豆なんかで代用することも可能だと思われる。
それを考えるとこの馬鹿のような政策は意味がないように思えてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます