第12話

半月ほどをかけて宇宙嵐を迂回した。

「ようやっと抜けたか・・・」

その間にもデータの収集は続けていたが残念なことに移住可能な惑星は1つも存在していなかった。

「燃料も結構使ったな。一度、集めるためにこの辺の調査でもしておくか」

幸繁はまず燃料の収集ツールを設置する。

しばらくこの宙域に滞在する予定なので採掘ツールも設置しておく。

それが終わったら元々乗っていた宇宙船に乗り換える。

目的は周辺宙域の調査だ。

「何か収穫があるといいんだけどな」

そんなことを言いつつ適当に選んだ方角の調査を開始した。

この辺の宙域は星そのものが少ないのかどこまで行っても星が見つからなかった。

「ん~。見事に何もないな。そろそろ戻るか」

燃料の残量も怪しいため1度、ベースに戻ることにした。

無駄足だったとはいわないが徒労感を感じつつベースに戻ってきた。

こういう時は食事をするに限る。

幸繁は新鮮な野菜を使ってサラダを作る。

それと同時に育てておいた枝豆を少量の塩でゆでる。

これでお酒なんかがあれば最高なんだがな。

と思いつつ食事の準備が完了した。

「いただきます」

幸繁はまず最初にサラダを食べてその後、枝豆を堪能した。

「ふぅ。栄養のことを考えるともっと作ってもいいな」

そう考えた幸繁は枝豆を追加で作るべく農業スペースに移動して大豆を畑にまいた。

知らない人の為に言っておくと枝豆は大豆が若い時に収穫したものなのだ。

地域によっては枝豆用の品種なども存在している。

大豆はタンパク質が含まれているがそれは枝豆も同様だ。

というわけで、タンパク質を得るために多めに作るのは仕方がないことなのだ。

幸い、自分の手持ちの大豆はかなりの量がある。

大豆になるまで育てている分もあるが枝豆として消化してもしばらくは問題ない。

ついでに他の作物の成長具合も確認する。

小麦の生育も順調のようだ。

この様子なら収穫も期待できるだろう。

他の作物も順調に育っているようで問題は特になかった。

「少し寝たら他の方角の調査でもするかな」

幸繁は仮眠を取っては調査をするという行動を繰り返した。

だが、残念ながら可住可能な惑星は見つからなかった。

幸繁はここで方針を転換することにした。

可住可能な惑星が見つからない以上は施設を充実させて生存の可能性を高める。

そうと決まったら資源が圧倒的に足りていない。

採掘ツールの数をもっと増やす必要があるだろう。

幸繁は今ある資源を全て採掘ツールを作るために消費することを決めた。

他にも色々足りない物はあるが少しずつ充実させていけばいいだろう。

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