玄関開けたら異世界でした。
すぅの人。
白狼との出会い
第1話 異世界でした。
桜舞い散る爽やかな朝。
今日から俺は高校生。
少し大きめの学生服に身を包み、玄関のドアを開け、外へととびだした。
そしたら、そこは異世界でした。
うん。大丈夫。
俺の頭はイッてない。
だけど、聞いて欲しいんだ。
目の前には樹齢うん千年かと思うような巨木が立っている。
家の玄関を開けて、いきなり森の中って、誰が予想出来ただろうか?
勿論、俺が住んでいる所は田舎じゃない。むしろ、空を支えているかの様な高層ビルがニョキニョキ生えた都会だ。
後ろを振り返ってもドアはない。
アニメで観た青い狸の何とかドアのようだ。
で、少しばかりの時間がたち、ある程度の冷静さが戻って来た時に俺は改めて途方にくれた。
15年生きて来てこんな状況になった事はないし、こんな状況になるなんて夢にも思わない。
俺が愛読している小説の世界でしか知らない状況だ。
途方に暮れながらも、辺りを見回す。
薄暗い森の中。上を見上げると生い茂る木々が空を隠していて、僅かな隙間から木漏れ日が辺りを幻想的な雰囲気に演出してくれている。
足元には図鑑ですら見たことないような色の葉っぱを持つ植物が鬱蒼と生い茂っている。
少し離れた所には興味深そうに此方を伺う小動物。
多分リスの仲間なんだろうが、額に角があって、前歯と言うより犬歯の発達が半端ないくらいに伸びている。
木々の隙間からも額に角を持つウサギがいるのだが、遠近感を無視する程にデカイ。
アレ、乗用車くらいあるんじゃないか?
とまあ、訳の解らない場所で、訳の解らない状況に陥って、いきなり周りを囲まれる絶対に危機的な状況なんですが、はっきり言って詰んだな。
この状況を打破する方法も何も解らないし、思い付かない。
仮に逃げ出したとしても、体力の乏しい俺は速攻で体力切れを起こしぶっ倒れる自信があるので、得策とは言えない。
喧嘩すらもした事がないので、戦うなんてのも絶望的だし、直ぐにガス欠を起こすだろう。
ならばココは覚悟を決めて、美味しく頂かれるとしよう。
今はただただ、ひと思いに殺ってねと心の中で祈願する俺だった。
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