第9話 シスター・エーリオ戦士女神

「さてカナメ。何から話しましょうか?」

僕は椅子に深く腰掛けてシスターの話を聞いた。

「なんでもいいです。教えてください。

全部話してください。」

シスターはやさしい目で駄々っ子がママにお話をねだった時の、ママの目で僕を見た。

ただ僕にはママはいない。

「そうね。カナメの知っている。

海賊制令部隊長ジャンボ。あなた達のお父さんの話からしましょうね。

ジャンボが私の所に来たのは彼が10才の時よ。

突然やってきて。強くなりたい。剣術を教えて欲しいと。

ジャンボは小さいのに力が強く、他の子供たちに比べて体格も恵まれていたの。

基本を教えると彼はめきめき剣術の腕をあげたわ。」

「父は小さいころからすごかったんですね。」

「そうですね。でも私は知っていました。

恵まれた才能と大きな体格。

でもそれだけじゃなかった。

彼の手の平はまめだらけ。

弱音を吐かずに陰でしっかりと努力をしていたんです。

おかしいですが、海賊にも努力は必要です。

努力した者は必ず結果がついてきます。

すぐに見えなくても後から必ずにね。」

僕は少し腕組みをして「あの大きな父が努力。」

「カナメ、大きい小さいは関係ありませんよ。人はその器の中で精一杯に努力した者だけが、見ることのできる世界があります。

カナメ、あなたには努力が少し足りないようですね。」

そういって僕の手のひらをシスターは見た。

確かに僕の手のひらはきれいだ。

「そうですね。私達、ハック星は

宇宙第3惑星銀河ボイド一帯をライオン星から奪い取った英雄の海賊です。

海賊に誇りを持っています。

ライオン星人はひどかった。同じ海賊でも略奪の意味が違います。

ハック星は支配下に置いた星の管理も責任も負います。がライオン星は違います。

奪い取った星は空っぽになり。やがて消滅。

宇宙の塵となります。

未来がなくなります。」

「ひどいですね。僕はハック星しか、知りません。海賊の星ですが、ここ長崎と同じく混沌です。色んな星の多種多様な星人たちが住んでいます。もちろん僕らのような親なしも、多くいます。

ですが、そんな子供たちでもハック星では生きて行けます。

海賊と混沌。ハック星みたいですね。

ここの教会は。」

「カナメ。今の言葉は私にとっての一番の褒め言葉です。

私は海賊の感容易さ。懐の深さを知っています。今の私はそんなハック星の海賊の心を他の星の心寂しき子供たちにも分けてあげたいのです。

海賊が言うのもおかしいですがね。フフフ。」

「シスター。それでシスターは、みんなの幸せのために無知のチカラを探しているんですね。支配ではなく幸せのチカラを。」

「そうです。」

「わかりました。シスターのことを少しわかった気がします。

それと、もう一つ教えてください。

父、ジャンボに剣術を教えたってことは、

シスターは、いったい何才なんですか?

僕はシスターが300年前の実在の宇宙隊戦争の英雄、エーリオ戦士女神だとしか思えませんが。」

「コツン。」シスターのげんこつが僕の頭に落ちる。

「カナメ、女性に年齢を聞いては失礼ですよ。女性は秘密が多いですからね。

私はただのエーリオ・ゴブザードですよ。」

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