第8話 鉄鎖
暗闇。彼は再びその中に沈んでいった――濃く、粘り気のある沼のように。光を求めて手を伸ばすが、それには届かなかった。
そして再び、どこか深い場所から声が聞こえた。
「…火を見つけろ…」
カインは体を震わせたが、体は反応しなかった。
目を開けた。
世界が戻ってきた。それは痛みではなく――冷たさだった。石。金属。錆の匂い。
最初に目に入ったのは、コーニだった。彼女は反対側の壁に座っていた。手首と足首には鎖がかけられている。頭はうなだれていた。
彼は話そうとしたが、唇は乾いていた。
彼女は目を上げた。
その目は――彼女のものではなかった。挑戦的ではなく、火もなく。ただ――空っぽだった。
「やっと目を覚ましたのね。」彼女は言った。声は鈍く、絞り出すようだった。「ここに一人残るんじゃないかと思ってた。」
カインは周りを見回した。石の壁。隅にかすかな光を放つランプ。手足にかけられた鎖。
彼は体を震わせた――金属が鈍い音を立てた。
「ここはどこだ?」
「檻の中よ。」彼女は言った。「それか、牢屋か。どっちでもいいけど。」
「どれくらい気を失ってた?」
「三日。」
彼女は壁に背をつけて、足を組んで座っていた。「お前はその間、ずっと動かなかった。あの男が来たわ。見ていっただけ。触らなかったけど。」
「ただ、『ご主人様が待っている』と言っていた。」
カインは彼女の顔を見た。その顔には跡が残っていた――血ではなく、乾いた涙の跡だった。
でも、彼女は震えていなかった。怒ってもいなかった。ただ、黙って座っていた。
彼は何をされたのか聞こうとした。
でも、コーニは自分から言った。
「彼ら…私の頭に入ってきた。何かを見せてくれた…何か。わからない…私のものなのか、他の誰かのものなのか。まるで誰かの人生を一瞬で生きたみたい。」
「それで、今それを忘れられない。」
一瞬の沈黙。
「痛いの、カイン。でも、涙も流せない。」
ガラガラと音がした。扉が開き、光が差し込んだ。
そこにいたのは、彼だった。
同じ仮面。同じ裂けたマントの影。
手は背中に回して、背筋は真っ直ぐだった。
静寂が一緒に入ってきた。
コーニは顔を上げた。声は弦のように張り詰めていた。
「やっと、私たちはご主人様オシャーのところに行くの?」
仮面はゆっくりと彼女の元へ歩み寄った。ひとつ、ふたつ、歩みを進めた。
彼は手を振り上げなかった。まっすぐ、手のひらで打った。
音は鞭で打たれたような音だった。頬が赤く染まり、頭が壁に弾けた。
「私たちのご主人様の名前はオシャーだ。」
カインは飛び出した。鎖が揺れ、金属の音が響いた。
「クソ野郎!」
影から五人が姿を現した。
同じ仮面、同じマント。
彼らはカインに飛びかかった。
打撃は正確で、研ぎ澄まされていた。
怒りの爆発ではなく、罰だった。
計画的に。
主は振り向きもしなかった。
彼はその音を音楽のように聞いていた。
コーニは叫び、身をひねったが、鎖が一気に引き戻した。
仮面はドアの方に向き直った。見ることなく言った。
「お前たちはまだ準備ができていない。」
五人は影に溶け込むように消えた。
扉が閉まった。
カインは冷たい石の上に倒れていた。
血が顎を伝い、砂に染み込んでいった。
しかし、彼の顔には――同情の気配はなかった。それは後回しにされた怒りだった。
「カイン…大丈夫?」
彼はすぐには答えなかった。ゆっくりと起き上がり、座った。
血を吐き捨てた。
彼はフードもマントもなしだった。
体は引き締まっていた。
筋肉は過酷な労働で鍛えられていた。
傷跡。火傷。鎖の跡。
それは生き残った者の体だった。
「大丈夫だ。」彼は言った。
「『大丈夫だ』って?」
「はい、大丈夫だ。」
コーニは首を振り、苦い笑みを浮かべた。
「私に答えさせるためには…
私たち、結局は捕まらないといけなかったのね。」
沈黙。
「どうしてそんなに傷が多いの?」彼女は静かに聞いた。
彼は鎖を見た。自分の手を見た。
答えなかった。
代わりに聞いた。
「君は何歳だ?」
「十六歳。君は?」
彼は目を落とした。
「わからない。」
沈黙。
彼は床を見ていた。
「覚えているのは…
目を開けたのは三年半前だ。
そしてすでに鎖の中だった。
鉱山。石。叫び声。
ここと同じような壁、同じような鎖。」
彼は目を上げた。
「名前はなかった。年齢も、"前"もなかった。
ただの奴隷だった。」
コーニは彼の言葉を聞いていた。
本当に。
ただし、それが欲しいからではなく、他に方法がなかったから。
「私が知っていることは――私は殺すのが得意だということだけ。でも、それがどこから来たのかはわからない。時々、自分がこの体にただ住んでいる別の誰かのように感じる。」
二人は黙った。
コーニは息を吐き、そして突然、微笑んだ。
「ねえ…このすべての中に、いいこともあるわ。」
カインは眉を上げた。
彼女はうなずいた。
「フードなしで、君、結構イケメンよ。年取ったおじいさんみたいだけど。」
彼は瞬きをした。それは驚きではなく、むしろ「今、何を言った?」という感じだった。
「本当に。」
「君は、私の兄に似てる。
彼もいつも不機嫌で、硬い顔をしていた。」
彼は答えなかった。
でも、唇の端がわずかに動いた。
「本当に、彼なら私が手をかじっても絶対に私を殴らなかったわ。」彼女はそう言って、鼻を鳴らした。
静寂が戻った。
でも、今度は嵐の前の息継ぎのようだった。
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