第8話 ゲンの廃棄

ベルトコンベアで運ばれた先にはまた分岐したベルトコンベアがあった。

ゲンは一度作業員によってベルトコンベアから降ろされると、タブレット端末と見比べられて「廃棄方法不明・分解不可」のベルトコンベアにのせられた。


ゲンは死にたくなかった。

とりあえず力の限り暴れた。

すぐに作業員が集まり、ゲンの体に強い電気を流した。

ゲンは死ななかったが気絶した。


ゲンはそのままベルトコンベアに運ばれ、大きな空間に落とされた。

しばらくして大きな板が壁との隙間もなく天井から降りてきて、ものすごい力でゲンを一瞬にして押しつぶした。

ゲンは死んだ。


板が上がると、奇妙な光沢を帯びた液体が大量に流れてきた。

おおよそ何でも溶かせる化学物質だった。

材料がわからない、もしくは分解が困難であると判断された場合のアンドロイドを完全に処分するための方法だった。


ゲンの死は誰も知らなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る