(3)昼職にチャレンジ

 アンタと同伴した翌日。昨日のことは昨日のこと、わたしは買ったばかりのパソコンをインターネットに接続した。自分でやったぞ。わたしは労働者派遣について調べて「登録型派遣」という働き方を選ぶことにした。


 この働き方は要するに、派遣会社に「登録」しておけば、派遣会社があそこの派遣先で働きませんかと、いろいろ案内してくれる。わたしは派遣会社をいろいろ調べ、応募書類を作成することにした。高校時代、いやいやだけどパソコン検定の資格を取っておいてよかったな。このくらいの作業ならわたしにもできる。


 困ったのは履歴書の職歴。ありのままを書くのはさすがにまずい。「自営業手伝い」にしておいたのは、ときどき父親おやじの農作業も手伝ってたから。そのほかにも、伝票管理やパソコンの入力作業を手伝わされたこともあるから、ウソではないよね。いつもわたしに農業を継いでほしいといってた父親おやじがよろこんでくれるといいな。


 派遣会社には全部で5社登録した。はじめのうちは緊張した面接も、何社か行くうちにだいぶ慣れてきた。面接を受けたとき、高校時代に簿記を勉強したので希望業務は「伝票処理」と伝えたけれど、なにか明確な希望があるわけではなかった。条件にあう派遣先があればまた連絡します、ということで登録完了。これなら、もうあと何社か登録しておいてもよかったかもしれない。


 それでも、面接を受けたときにはあまり条件にこだわりはないと思っていのだけれど、実際に話がくるとなかなか決めきれなかった。どうしよう、どうしようと迷っているうちに、応募期限がすぎることもたびたびだった。ふだんはわりとすぐにものを決められるのに、いざというときに決めきれないわたしの性格。自分でもなんとかしたいと思っていたら、捨てる神あれば拾う神あり。願ってもない話がきた。まさかまさかの派遣先はアンタの会社で、業務内容は伝票処理。このチャンス、逃すわけには行くまい。


 幸運にもわたしは関門を突破した。派遣会社を訪問して所定の手続きを取り、その足で本屋に向かった。簿記の本をめくってみると、高校時代に勉強したはずなのに、すっかり記憶が抜け落ちていた。あわてて1冊買って、家に帰ってからも買ったばかりのパソコンに活躍してもらった。あとはアンタの会社への出勤を待つばかり。かけもちの仕事の出勤も調整した。

(つづく)

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