第23話 ハゼラ教官の過去
ハゼラ教官の同期が話した過去は、衝撃的なものだった┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。
「ルーズの過去ォ?」
「ま、いいけどよォ。」
「!ありがとうございます!」
「あれは確か┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈」
┈┈┈┈┈┈┈┈ハゼラ・ルーズ10歳。
ハゼラ教官は孤児院出だった。
親は10歳の時に突如として消え、身よりもなく彷徨っているところをアキ隊長に拾われたらしい。
「消えろ!」
「うっ」ドカッ ドコッ
しかし、ハゼラ教官は“弱かった”。
周りからはその背の低さとそばかすのせいで毎日のようにいじめが起きていた。
清掃員選別時も第7次選別にてようやく合格。
しかし、清掃員の訓練にもついて行くことが出来ず、万年C隊員だった。
手先が器用なわけでも、特別賢かったわけでもなかったため、救護班と科学班に入るのは絶望的。ハゼラ教官は“首寸前”まで来ていた。
「おいお前、大丈夫か?」
そんな時に手を差し伸べたのが、アキ隊長だった。
「強く、なりたい…!」
それからというもののハゼラ教官は、アキ隊長に必死に頼み込み、訓練をつけてもらった。あたしのように追い返されても何度も頼みに行ったらしい。
ハゼラ・ルーズ、訓練の日々の14歳だった。
ハゼラ教官はアキ隊長の訓練だけでなく、自分でも特訓をしていた。
まず最初に始めたのが、“孤児院の掃除”。
ハゼラ教官はピカピカに孤児院を磨き上げ、その過程で腕の筋肉の発達や、周りに認めさせることができたらしい。
次に行ったのが、基礎的な筋トレ。
基礎的と言っても、毎日寝る時間を削るまで筋トレをし、休みの日も作らずに特訓に励んだ。
体調を崩すこともあったが、ハゼラ教官は確実にグングンと成績を伸ばして行った。
そして┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ハゼラ・ルーズ17歳。ついにS級隊員になることが出来た。
ここまで約7年。ハゼラ教官はその後も特訓を積み重ね、やがて“伝説の清掃員”と呼ばれるまでに成長した┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。
「┈┈┈┈┈┈┈という感じかな。」
「そ、そんなことが…!」
あたしはこの話を初めて聞いた時、とても驚いた。
あの鬼のようなハゼラ教官にそんな過去があったなんて…、まるであたしのようだ、と……。
「だからまぁ、ルーズはお前さんと昔の自分を重ねてるんだろうな。」
「ま、頑張れよー!」
「…」
(あたしも、頑張らなければ!!)
「はいっ!!」
あたしがハゼラ教官のようになると誓ったのはこの時だった。
それからというものの、あたしは毎日寝る間も惜しんで孤児院の掃除をした。
そのおかげで、なんとか1週間以内に掃除を終わらせることが出来た。
「てめぇ、なかなかやるじゃねぇか。」
「っ!はいっ!」
「よし、次は筋トレだ!」
「はい!!」
ハゼラ教官も私を認め、それから約3年間の間、特訓をしてくれた。
こうして、ハゼラ教官のご指導の元、今のあたしが出来上がったのだ┈┈┈┈┈┈┈┈。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈そして現在。
「あの!ハゼラ教官!覚えていますか!孤児院に居たノラです!」
興奮してハゼラ教官に詰め寄る。
すると、ハゼラ教官は嬉しいような悲しいような顔をして、目を丸くしていた。
「おっどろいた…。てめぇ…、あのノラか…?」
「はいっ!そうです!あのノラです…!」
あたしの目にはいつの間にか涙が浮かんでいた。同じように、ハゼラ教官も目が潤んでいるように見えた。
でも、そう見えたのは勘違いだったようだ。
「そうか……。」
「…だからといって訓練は甘くしねぇぞ!」
「てめーら!しっかりついてこいよ!」
「「はいっ!」」
ハゼラ教官はそう怒鳴り、黒板の方を向いてしまった。
でも、ハゼラ教官が、涙を拭うように手を動かしたのは、きっと、勘違いではないだろう。
こうして、あたしらの地獄の学校生活は、幕を開けた┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。
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