雪解けとともに
さえき あかり
田舎の若殿さまとお転婆姫
開国が成されれなかった日本某所。一応、車で橋を渡れば都会へと出られるものの、所詮は田舎で、高層の建物は何もなく、ただ広々と田畑や戸建ての民家が立ち並ぶ場所。その中心地に一人の若殿がいた。
元服を当に終え、十年以上の歳月が経つも、未だ縁談の話はなく、両親はこのままでは一家が途絶えてしまうと危惧し、どうにか理由を付けて若殿を連れて大阪の地へと足を運び、花嫁候補となる者を探しに出かけても目ぼしい収穫はなく。
ただ、彼自身の意思が無くては何もならないと悟った親二人は、募る焦りを捨て去る事に決めた。すると、その日の宿で彼は言った。
「大阪の地は沢山の物に溢れ、良い刺激を与えて下さることが分かりました。」
どうか、この地にて住まいを用意し、僕が自分の目で相手を見定め、戻ることをお許し頂けませんでしょうか。
両親がすぐに大阪城へと文を出すと、同じ城住まいとは言え、格は相応に違う為、下働きであればとの返答があり。しかし、その旨の文とは別に一通の角二サイズの封書が添えられていた。
そこには釣書と文が添えられており、成人を迎えたと思しき年ごろの姫の写真も封入されており。
文には、『お転婆が過ぎ、行き遅れた娘ではありますが、良い刺激を与えあい、互いの成長を促し合う関係となることを望みます。どうかご検討のほど宜しくお願い致します。』そう締めくくられていた。
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