第121話恥ずかしい!
「そんな程度ではあたしは倒せんぞっ!」
「そうだっどうして君は戦っているの!? 平和の為とか??」
カシンッ
彼女は剣を弾いた。
「ハンッそんな訳無かろうっアルパカインゼットがクライアントなだけさっ」
え、そうなの? もしかして……
「第三王子アルフレッドって知ってる?」
俺はもう戦いながら立ち話でもする様に聞いてしまう。一応紹介せずに遺体を運んでくれたけど……
「知っているが、雇用主では無い!」
カキィイーン!
カチ合う光の剣と剣。その度に派手な火花が飛び散って行く。
「じゃあ誰? 王様とかっ??」
「戦闘中だぞ、剣に集中しろっ王様では無い!」
「じゃあ誰なの?」
ギリギリ
鍔迫り合いの最中にも聞いてしまう。
「第二王子アルデリーゼだ、彼に雇われている! 軍資金に私費で偽金を作っていたのも彼だっ」
え、そうだったのか……平和なカピパララインにもアルパカの魔の手が。アルフレッドの奴知っているのかな? また会えるのかな、彼やレミランに……ついでにシャリィ。
「戦闘中によそ見をするなーーっ」
ギュインッ!
ほぼ必殺の剣が俺に迫るが、アルフレッドの事を考えぼーっとしてたので全く避ける事が出来ない。
アッ
俺、死ぬ……気付いた時には、光の剣が俺の首の辺りに迫っていた。
「危ないだろがっ」
ピタッ
彼女は俺の首を切り落とす事が出来ずに、本当にギリギリ寸前で止めてくれる。アブナイ危ない。こんな場面で厚かましいけどもう言うしか無い。
「聞いてくれ、俺アンタにこれ以上剣を向けて、斬ってしまう事なんて出来ないよ」
「心配しなくてもお前の方が負ける寸前だろーがっ」
確かに! でも言うんだ。
「俺、アンタとこれ以上戦いたくない。だって、俺……最初にビスマスと会った時から、何故か分からないけど……キミの事が好きなんだーーーーー!!」
ピタッ
言ってしまった……恥ずかしい。こんな気持ち初めてだよ。彼女は……何て言うだろ? ドキドキするよ。
シィーーーン
戦闘は止み、しばし気まずい沈黙が続く。
「スマン、聞いて無かった」
俺は空中でコケた。え、そんな訳無いでしょーー?
「じゃあ、もう一回言うよ、良く聞いて!!」
「いや、結構だ。良く見るともうかなり部隊も削れたな。ここら辺で退散しよう」
え? 何その態度、どう受け取れば良い訳!? いつもハッキリしてる彼女のこの対応は何、もしかして動揺してる? 俺の言葉に迷いが生じたのか……
ドシューーッ
「あっ」
気付くと彼女は飛んで行った。
ー地上
「見ろっ青い光がっビスマスが逃げて行ったぞっ」
「凄いナスビィー様は神か!?」
「勝ったぞバンザーーーイ!!」 「バンザーーーイッ」
「ナスビィーー様バンザーーイ」
ー地上では壮絶に勘違いされてユリナスの大勝利になっていたので御座います。
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