第22話 追放:ロッフェ・ブルートパーズ3

 ユフィアは思ったよりケガが酷かった。だからラトムさんに甘えるような形で、数日泊めさせていただくことにした。家事はもちろんのこと、畑仕事も手伝うことにした。

 畑仕事をして自分のスキルの成長具合に驚いた。なんと、植物や土の状態までいることができるようになっていたのだ。こうなるとますます農家の申し子ではないか。

 とりあえず、今の土の状態なら大丈夫だろう。肥沃ひよくとまではいかないにしても、枯れたりする心配もない。


「あんちゃああああん!」


 遠くから声がした。ラトムさんだ。すごく慌てている。


「どうしました?」

「はあ、はあ、大変だぁ、し、し、死んで……」


 死んで!?


 ユフィアのケガは確かに酷かったけれど、こんなにも急に容態が変わるのか!?


「今すぐ行きます!」


 僕は農具をほっぽり出してラトムさんの家に急いだ。玄関から一気に彼女が寝ていた部屋に駆ける。

 ガラガラッと勢いよく扉を開け放つとそこには、


「なっ……!?」


 裸身を晒して突っ立っているユフィアの姿があった。

 生きていた。


「良かっ——」

「良くない!」


 鉄拳が僕の顔面に炸裂し、そのまま仰向けに倒れた。ピシャッと扉が閉められた。


 しばらく天井がチカチカして桜の花びらがふたひら舞っていたが、そこにラトムさんの顔が現れた。


「あんちゃん、いきなり走り出したかと思ったら、今度はなんでこんなところで寝とるんかね?」

「ラッキースケベの代償というやつですかね」

「はぁ……」


 言っている意味がよくわからないと言った感じで相槌を打たれた。


「あ、そうだ! そんなことより、村娘が死んだんだよぉ!」

「え!?」


 死んで、と言うのは聞き違いじゃなかったのか。


「どうにも死体が不自然で、誰かに殺されたんじゃねえかって噂が飛び交って村中大混乱だぁ。助けてくれねぇかなぁ?」


 助けたいのは山々だけれども、僕が介入したら余計に混乱は強まるのではないだろうか。


「ロッフェ、助けよう」


 軽装のユフィアが扉を開けるなり言った。僕は寝ているので胸で彼女の顔が半分見えない。


「ユフィアがそう言うなら。でも、殺人事件とか、解決できるかわからないよ?」

「そうだな。しかし、村の方々には恩がある。特にラトムさんに受けた恩は計り知れない。ほんの少しでも返せるのなら、返したい」

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