アラサーとローファー

ほとけのざ

思ひ出

少女の日記

 満たされたい。愛されたい。

 一瞬だけで良いから、誰かの脳裏をよぎる人になりたい。


 私には、普通の人にある何かが足りない。もしくは無いに等しい。愛想とか気の利いた行動もそうだけど、もっとこう…根本的な何かが。


 喉から手が出るほど「それ」が欲しい。手に入ったからといって、幸せになれるとは限らないけど。


 誰も私のことなど、分かってはくれない。


 酷く孤独を抱えていることも。

 温かいお母さんのご飯を毎日望んでいることも。

 普通の人になって暮らしたいことも。

 本音や重い話を受け止めてくれる友人が欲しいことも。


 何か大切なものを壊したいことも。


 この中の欲求が満たされたことは、ない。小さい頃は当たり前のことだったのに、年を重ねるにつれて幸福の背丈が合わなくなってしまった。



 最近は、いつかの「30歳まで生きてみて、失う物など何もない空っぽな人間になっていたら、死のう。」という約束をかてに日々を生きている。


 大人になって、「結局、何も成せなかった。」と虚しい気持ちに襲われるのが怖いから。



 タイムリミットはあと15年。



 自分の人生を、自分自身の手により壊す。これなら、合法的に「大切なものを壊したい。」「生きたくない。」という欲求を満たすことが出来る。


 そうだ、どうせ死ぬなら滑稽こっけいな死に様にしよう。誰もがあっと驚くような、衝撃のラストで人生を締めよう。




 どうかこれを見返している未来の私が、空っぽな人間でありますように。

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