神様がいた村

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第1話 神様がいた村

 私の友人には旅人が一人いるのだが、今日はそいつが「面白い話を持ってきたから聞きに来てくれ」とうるさいので奴の家に行ってやることにした。


 そこまで暇をしているわけでもない私を無理やり呼びつけて話こ聞かせようと言い出したからには、しょうもない話をしてきたあかつきには何かしらくれてやらないといけない。 私が面白くないといったら、今日の昼か夜は適当な食事でも奢ってもらうと私は彼の前で言った。


 彼はそんな私のことなどどうでもいいという風に流し、さっそくその「面白い話」というのを話し始めた。 なんでもそれは、彼が日本のとある村に訪れた時に知った、ある昔話だというのだ。

 それは、まさにその村で過去に実際に起こった出来事だというのだ——


 ——


 彼が訪れたのは、とある山岳地帯にある小さな平野部に位置する村だ。 そこに行くまでの道も高低差がはげしい上に相当入り組んでいて、たどり着くのはかなり大変だったらしい。

 しかしそれほど交通の便がいいというわけでもないのに、彼がその村にやってきた時は一目見ればわかるほどに多くの観光客のいきかいがあったのだという。

 その村は、よく言えば素朴で昔ながら、悪く言えば平凡で一見これといった特徴も見当たらないような、程よく自然と畑に囲まれた――村というものを絵にかいたような村だったそうだ。

 だが、そこは確かに栄えていた。 豊かで、裕福で、村人や旅行客など誰もが幸せな顔をしていたという。


 とりあえず彼も他の観光客にならってこの村を見て回ると、次第にこの村の良さというものが分かってきた。 この村で取れる名産品の作物はどれもその辺の店で買えるような野菜の比にならないほど美味く、この地の風土がそうさせるのかさっきまで感じていた疲労もすっかり抜け落ちたどころか普段よりも体が軽くすら感じられる。 さながら村全体が一種のパワースポットのようになっているのだ。

 村人らも皆優しい。 彼をはじめとしたどこから来た誰かも分からないような旅行客らが相手でも皆丁寧に接し、温かなおもてなしで迎え入れてくれるのだ。 彼曰く、まるで幼いころからここで暮らしていたと勘違いするほど心が休まったとのことらしい。


 しかし彼はそれだけではこの村の栄えっぷりに納得がいかなかったのか、その村に唯一ある、その村に関する書物をまとめた建物に入らせてもらい、そこにまつわる過去の歴史などを調べさせてもらったのだ。 さしずめ文化研究だの各地の歴史を調べているだの適当なことを言ったのだろうが、そこはどうでもいい部分だ。

 問題は、そこにある書物に書かれていたこの村の歴史だ。 どうやらこの村は、かつては今のそれとは大きく様子が違っていたようで——


 今よりもさらに昔、この村はひどく荒れ果てていた。

 土地は枯れ、井戸もなく、ろくに雨すら降らないために満足に作物も実らず、作物がないということは大したエサも食えないために家畜も育たず、辺鄙な土地に位置しているためかよそからの来訪客にも恵まれず。

 絹はおろか綿花すらないので皆はぼろの木綿の衣を纏い、冬になれば決まって誰かが凍るように亡くなり、ろくに肌も守れないので虫や木の枝に引っかかれては悪い病気をそれらからもらってまた亡くなり。


 一体村がそんな様子でどうやって暮らしていたかというと、毎日道端に生えてるものの中でも食える草を探してはそれを摘んで、大きめの虫やその辺に這いずり回っている野ネズミなどを捕ってまとめて炒めるか煮るかして食い、もしかしたらとなけなしの希望を胸に畑を耕していたのだという。

 冬になれば皆で体を寄せ合って、春になれば必死に雪解け水をかき集め、夏は多く湧く虫らと食うか食われるかの争いを繰り広げ、秋になればもうじき来る絶望に対し無意味と知りながらも必死に対策を講じ、そしてまた冬がやってくる。


 当然、そんな暮らしでは限界も近い。 食えるものも次第に減るばかりで、畑だって彼らの期待に応えてやることもできない。 どうしようもないとはこういうことを言うのだと、みなは心で理解したそうだ。

 村人の多くは次々に何も言わなくなる同胞を見て、明日は我が身と思うばかりなのだった。


 しかし、ある日からそんな暮らしも変わった。

 そう、それがこの村が今の裕福な村に変わるきっかけともなった大きな出来事——神様が、その村に訪れたのだ。


 その神様は何とも風来坊で妙な格好をした男であり、いつも悪戯っぽい笑みを浮かべていたのだという。 なので始めその者がこの村に訪れた時は、村の皆は彼を物好きで気の触れた旅人だと思ったそうな。


 その男ははじめこの村に訪れた時、この村のいたるとこを炉つぶさに観察して回ったのだという。

 荒れ果ててろくに作物も育たない田畑、やせ細り力なく鳴くだけの家畜ら、地面を見れば食うために草がむしり取られた跡がそこらかしこにあり、薄汚い服を着てやつれた顔をしている村人と、その者らの住む今にも崩れそうなあばら家。

 男はそれらに手をそっと添えて眺めるたびに、どこか悲しげな、わずかに呆れたような表情を見せていた。 それが一体何を意味するかは彼以外に分からないだろう。


 この村のすべてを一通り見て回ったところで、男は村の真ん中まで行くや否や大きな声で村人ら全員を呼び寄せた。 彼のことが気になってこっそり後ろをついてきた者たちも大勢いたので、たいして時間もかからずに皆は彼の前に顔を出したのだが。

 そんな村の者らを前に、男ははっきりと大きな声でこう言ったのだという。


 ——俺は、ここより遠くから来た幸運をもたらす神だ——


 その時は誰も信じなかった。 つまらない冗談だと思って、信じる余裕すらもなかったのだ。

 男の言葉を聞いた数秒後にはまるで霊にとりつかれたのかのように生気のない顔でこの場を去ろうとする村の者たち。 男はそんな者らの背中に向けてもう一言、


 ——一日だけでもここに居させてくれ。 さすれば解る——


 と告げたのだという。

 村人らは男に、あなたをもてなす余裕も持ち合わせもないが、それでもいいのかと聞いた。 男はそんなことは大きな問題ではないと、あっさり言い返す。

 自らを神と称した男は適当にてっぺんの平らな岩の上に寝転がると、そのまま寝てしまった。 あの者がそれでいいのならと、その様子を眺めていた村人らも次第にその場から去っていき、その日も終わりを告げようとする。

 その日の夜、珍しく雨が降ってきた。 土砂降りでも、小雨でもない程よい雨が、この村を中心として一晩中降り注ぐ。 村人らのほとんどは気を失うように眠っていたため、そのことにはまるで気付いていなかったのだが。


 翌日、村人らが何かに安堵しながら、または何かに絶望しながら目を覚まし、外へと出たその時、驚きの声をあげないものはいなかった。 昨日この村に来た、神と名乗る男を除いては。

 村中が緑に包まれていたのだ。 あの枯れてひびも入りすっかり荒れ果てていた地面には一面に草が生い茂り、頼りなくしおれる枯れ木も青々とした歯をこれでもかと身につけている。

 村人らよりも先に彼らの飼う家畜らはそのことに気付いていたのか、もうすでに地面に生える草を何度も頷くようにかみしめていた。 その一口ごとに、家畜の体もみるみる太く大きく、立派になっていく。


 これは、一体どういう奇跡が……?と皆が驚きと困惑を隠せないでいると、男が、いや、神様が皆の下へと行き、さらにこう告げたという。

 「明日、明後日、日を重ねるたびに奇跡が起き、この村は今日の比ではないほどに豊かになっていく」と——


 次の日、家畜らは新たにウン十頭もの子を産み、その子らも地面に生えた草を食ってすくすくと育とうとしていた。 村の中に生える木々は橙色の実をならし、それは誰がどう見ても食えるものであった。

 その次の日、家畜の子らはすでに親に背の七分ほどに成長していた。 村人らがどれだけ必死に世話をしても何も実らなかった田畑もまるで息を吹き返したかのように、立派な芽がいくつも伸びていた。

 さらにその次の日、畑では多くの作物がなんともう実りを身につけていた。 やつれやせ細ってみた村人らにも活気がみなぎり、ぼろいあばら家は次々に新しい家屋へと建て直されていった。

 まさにあの神様が言ったとおりに、日を越すたびに村が以前の村ではなくなっていく。 豊かで実りに満ち溢れる、素晴らしき村へと変わっていったのだ。


 ある日、神様が村のはずれ、山のほとりに生える一本の木を指し示し、ここのあたりの土を掘ってみてくれと言い出した。 誰も迷いも疑いもせず、思い思いの道具を手にあれよあれよとあっという間に大きな穴ができた。 そして、みなはまた神に感謝することとなった。

 その穴は、この村に清い水を届ける井戸となったのだ。 

 こんなところに水源があったとは、いや神様が指さしたからここに井戸ができたのか、そんなことはもはやどうでもいいことだった。

 この出来事が決定打となり、はるか遠くよりここへ訪れ、幸運をもたらしこの村を救った神をまつる社が建てられたのは、言うまでもないだろう。


 神様がこの村に訪れた日からはや数十年。 今や遠方よりここへ旅行に訪れる者も増え、村はさらに潤うこととなった。

 神様も、その当時と全く変わらぬ姿で今もなおこの村で暮らしている。 あの人は違い、もう誰も彼が神であることを疑う者はいなかった。


 しかし、そのような暮らしを送れるようになったのにもかかわらず、mらの者たちに一切の不満がないというわけでもないようだ。

 というのも、これほど長い間生活を共にしてようやく皆が気付いたことなのだが、この村を救ってくれた神というのは……かなり、性格に難があるのだ。

 普段は村の子供たちと一緒になって追いかけっこやかくれんぼなどの遊びをしてくれているのだからありがたいのだが、たまにその子供らと一丸になって村の大人たちに悪戯を仕掛けたり、家畜にしょうもないちょっかいをかけたり、その辺を歩く娘らに手を出そうとしたり……とにかくやりたい放題だった。

 しまいには、ある日突然自らを崇めさせるための収穫祝いの祭りを村の皆に開かせようとする始末。


 村人らは、その横暴ともいえる神の態度に何か言い返そうともしたのだが、そのたびに神はそちらがそういうのなら俺もここを去るという。

 この村がここまで栄えたのは、神がここへと運んできた数多くの幸運と奇跡の数々によるもの。 あの日紙がこの村に来てから、この村は一気に豊かさを手にしていったのだ。

 しかしそれは逆に言えば、神がこの村を去れば、おそらくこの村は以前のような貧相で貧しいそれへと元通りになってしまうだろうということになる。 神がここにいてくれなければ、あの今日食うものも満足に得られず、日々が死と隣り合わせの暮らしに戻ってしまうだろうということを、村人は理解していた。

 神もそれを分かってか、度々自分にここを去っていってほしくなければと自分のわがままを押し通すようになっていった。 

 あくまで推測だ、本当に紙が去ったとて以前のように戻らなくてすむかもしれない。 それに神の言っていることもきっと冗談なのだろう、本当にこの村を出て行ってしまうとは到底思えない。 だとしても、そう思っていても村の者らはその言葉に従うしかなかったのだ。

 なぁに神のわがままぐらいでこっちも苦しくなることはないのだから、村をここまでしてくれたお礼だと思えば安い。 皆はそう考えるようになった。


 そんな生活がまた長い間続いたある日——神がこの村に来た時と同じほどの、この村にとっての大きな出来事が起こった。


 それは、神のほんの気まぐれだった。 神が急に、今までの自分の行いを反省すると言い出したのだ。

 この村は自分のおかげで成り立っているからこれぐらいは許されると思い悪戯を働き、何度も何度も脅しをかけてわがままをかなえさせてきたが、それが皆にとっては相当心の負担や苦労のもととなっていると知った、と神は言うのだ。

 今度は何を言い出すのかと微妙な顔を向ける村人らに対し、神はこう言い放つ。 これまでに散々迷惑をかけたせめてもの詫びとして、村の者らのどのような願いも聞き入れよう、と。


 村の者らは悩んだ。 いったいどのような願いを神に聞いてもらうべきか、言ったところで本当に叶えてもらえるのかと。

 神は、いつでもいくつでも俺に言ってきてもいい、できるだけの全力をもって叶える気でいる、と言ってくれはしたが、できることなら早くに何か一つ、大きな願いを叶えてもらいたい。

 必死に悩み考えた末、皆の思いはたった一つに集まった。


 『神様神様、願いが一つ決まりましたので、今日の夜山のふもとの井戸のところまでおいでなさってくれませんか』

 『その呼び出しが願いというわけではないのだな。 分かったよかろう、今日の夜に、まずは一つ願いを聞いてやろう』


 そんな流れで神はその日の夜、村の者に言われた通り井戸の所へとやってきた。 自分がここを掘ってみよといって作らせた井戸なので場所を間違えるわけもない。

 空には薄く雲が張って星や月の明かりもほとんど届かずあたりはすっかり真っ暗。 多くの村人も寝ておりしんと静まり返って冷たく差すような風もかすかに吹く中、神は井戸の所へ来た。 

 神が来た時そこにはもうすでに、村人が何人か神を待っていたかのように立っていた。 皆、手に何かを持っているようだが、あまりにも暗いのでよく見ることができない。


 何か妙な気を感じつつも、兎にも角にも願いを聞いてやらなければ始まらない。 さあ何でも言うといい——

 と、神が口にしようとしたその瞬間、目の前の村人が次から次へと神へ飛び掛かってきたのだ。

 一体何が起こっているのか、自分は何をされているのかもよく分からないが、気付けば体が動かない。 いくら身じろぎしようとしても、手足を持ち上げることすらできない。 神は、全身をがんじがらめに拘束されたままその場に倒れてしまった。

 そして、その身動きも取れない神に対し、皆はさらに岩や鉄くずを括り付け井戸の中へと放り込んでしまった。


 もう二度と、出て行こうとしないでくれ。 ここからどこにも行かず、この村のために、この村と共に暮らしてくれ。

 真っ暗な底に落ちていく神に向かって、皆が送った皆の願いである。


 それ以降、神は村人と共には暮さなくなった。 あの日の夜以来、神はずっとあの井戸の底にいるのだろう。

 一体神が今何をしているのか、もしかしたら何とかあの場から抜け出そうとしているのかもしれないし、井戸に突き落とした弾みに死んでしまったのかもしれない。 しかしそれも今は確かめようがない。 井戸の底を除いても、そこには闇があるのみ。 底の様子など窺うこともできないのだ。

 しかし、この村は依然変わらず豊かさを保っていた。 田畑は余るほどの実りをつけ、村の者らもみな病や怪我に悩まされることもなく健やかに育ち、遠方からの来客のおかげでさらにこの村は富めるようになるだけでなく新たな知識をそうやって得ることもできた。

 これは、あの神の力が今もなおこの村を豊かにしてくれているのか、それとも神は死んだがこの村はもうすでに神の力無しでもやっていけるようになったのか。 恐らく後者はありえないだろう。 これほどの豊かさが当たり前に得られることなどないのだから。


 村人は皆、神の末路を知っていた。 村人みんなで決めた、皆の思いが詰まった願いを叶えてもらったのだから。

 それゆえに皆、恐れていた。 もしかしたら、ある日突然この村から幸運が消え失せてしまうことを。 神を怒らせてしまったであろう行為に対する報復を。

 村の皆の身に余るほどの幸福。 きっと他の場所では味わえないほどの幸せな日々。 それらがいつか失われると考えると、どれだけの幸せを得ようがもはや問題ではなかった。

 村人らは、その日から新たに、今この時間を大切にしようと心に決めたのだ。


 そしてそんな、幸福であるが故の恐怖に追われる日々を暮らしていたある日、この村にとってさ三つ目の大きな出来事が起こった。


 あの日以来、例の井戸は使われなくなった。 神の沈む井戸はすでにその形のみを残し、誰も近寄らなくなった。 実際使おうと思えば使えるのだろうが、誰もそれを使いたがらないのだ。 当然のことだろう。

 しかし、まれに怖いもの見たさでその井戸に寄って中を覗き、様子を確かめようとする者もあらわれるようになった。 井戸の底に落ちた神が今は何をしているのか、どんな様子でその深きにいるのかが気になって仕方がなく、そうやって確かめようとするのだ。

 だが、誰が見に行っても、その者にだれが問うても、帰ってくるのは真っ暗な闇以外何も見ることができないという答えばかり。 しだいに井戸除きに挑む者も少なくなっていった。


 それは、突然起こった。

 今日もまた、一人の男があの井戸へと向かって行っていた。 やはり彼も井戸除きが目的なのだが、どうやら彼の場合は事情が違うようだ。 彼は今よりずっと前に、神を井戸へと突き落とした者らの一人だったのだ。 仮に何も問題がなくとも、確認しないと気が済まないのは当然のことであろう。

 そしてあと数歩で井戸のもとまでたどり着く――といったその時、彼の体が大きく揺れた。 いや、彼だけではない。 周りに生える草も木々も、地面そのものもみなが激しく揺れている。 地震だ。 この村では珍しい、地震が起こったのだ。

 幸いにもそれは、ものの十秒程度で収まった。 すっかり腰を抜かしてしまった男も再び立ち上がり、何も問題はないか周りを見渡す。

 そして、それを見たのだ。


 井戸が、崩れていた。 膝よりわずかに上にくるほどの高さまで丸く詰まれた岩の八割ほどが穴の底へと落ちてしまっていたのだ。

 男は恐ろしさのあまり真っ白な顔にびっしりと冷や汗を浮かべながらも、その穴の底を覗き込んだ。 中は外壁の土が泥となってさらに底へと流れ落ちており、いよいよ底を見ることはできなくなった。 井戸が完全に埋まってしまったということだ。


 そのことは瞬く間に村中に知れ渡った。

 井戸が埋まってしまえば、神はついにどうなってしまったのか、さっきの地震にも何か我々にとっての大きな意味があったのだろうか、どれだけ考えても分からない。 飛び交うのは村人らを恐れさせるような憶測ばかりで、何も分からない。

 知りようがなくなってしまったのだから。


 幸か不幸か、その日から遥か時代をまたいで今までもなお、神による幸福が途絶えたことはないのだという。

 我々は今も、その幸せを得て暮らしているのだという——


 ——


 男はそこまで言って、ようやく顔をそらし手元の煙草に火をつけた。 何とも後味が悪いが、これでその面白い話というのは終わったのだろう。

 ちなみに補足として彼がのちに話してくれたことなのだが。彼がその話を知った後に物語に出てくる例の井戸へ行ってみようとしたところ、そこに行くための道が立ち入り禁止となっていたらしい。 そこは旅行客だけではなく、村の者でさえも一部を除いての大勢が入ることは許されないのだという。


 彼が語ってくれた話は本当に起こった出来事、その村の過去を示す歴史なのだろうか。

 現実的に考えて、にわかには信じきれない描写もいくつかある。 それはおそらく過去の話なもんでいくらか”盛って”語られているとは考えられるが、だとしても本当にその話で語られるようなことが起こったのか……分からない。

 もし本当なら、私は耐えられないだろう。


 友人を、かつて彼が好きだといっていた魚の旨い居酒屋へと連れて行って夕食を奢っているときに。ふと考えた。

 私も実際に、そこに行ってみるのも面白い、と——

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