エンド2:狂わされた愛着


 知らない女に話しかけられたのは、カフェを出て夢花と別れた後すぐのことだった。


「あの子のことが好きなら、引越しを止めてあげた方がいいと思う」

「はあ?」


 その女は、自分は聡真の友人だと主張した。偶然同じカフェにいた女は、そこでの俺達の会話を聞いていたのだという。


「聡真、あの部屋を格安物件だって自慢してたの。すごくいい条件なんだ、って」

「はあ」

「聡真の前に住んでた人も、亡くなってるの。あの部屋は聡真が住む前から、事故物件だったってこと」


 その部屋に住んだ人間が、続けて亡くなっている。

 そして、住人は初め、その部屋をひどく気に入って引越してくる。



 夢花が魅入られているのは、本当に「聡真」なのだろうか。


 それとも、聡真が住んでいた「部屋」なのだろうか。



 俺には、判断がつかなかった。



─エンド2:狂わされた愛着 終─

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