天才ルーキー!老け顔のせいでベテラン冒険者に間違えられる。
栗頭羆の海豹さん
流石!ベテラン!
冒険者都市国家ギルディア
各国の新人冒険者の登竜門として有名なこの都市は若き活力に溢れた新入りが毎日昼夜を問わず訪れていた。
各国の支部ギルドと繋がり、様々なギルド本部が立ち並ぶ街は、新人冒険者にとって名を上げるチャンスがいくらでも転がっているのである。
もちろん、新人の中にはずぶの素人から何処かで腕を磨いてきた者と多種多様であり、今クエストから帰ってきた者もそんな新入りの一人だった。
「クエスト完了。・・・これが証拠部位と馬車に討伐対象が積まれている。」
「・・・はい。問題ありません。本日もお疲れ様です。ベテラさん。」
「おい・・・見ろよ。あれ。」
「あぁ、間違いねぇ、ギリーゴブリンの耳だ。」
「アイツ、まだこのギルドに来て一年も経っていないのに、あの森の魔物を狩れるのかよ・・・」
「しかも、鎧や兜には目立った傷どころか、返り血を浴びた跡すらねぇ・・・」
ギルドに併設されている酒場で飲んでいた他の冒険者達はベテラと呼ばれる鎧で全身をくまなく覆っている新人冒険者の成果を見て驚いていた。
彼等もベテラン。
ベテラが持ってきた証拠部位をチラッと見ただけで何処のクエストを受けてきたのかを一発で当てていた。
「俺ら、未だにあの森だと死ぬかもしれねぇ・・・てのに・・・」
「あのベテランな風格を見ろよ。・・・俺らとは潜ってきた修羅場がちげぇよ。」
「ベテランの新入りかよ。・・・やっぱり、」
「おい、それ以上は言うな。アイツに聞かれでもしたらどうする。」
いらんことを言おうとした仲間を冷静に止めた。
噂好きな仲間と話すのは飽きないが、この前もその噂の本人に聞かれてトラブルになったばかりである。
その時も謝罪等で大変だったのだ。
また地雷を踏むのはごめんである。
「・・・・・・そして、これがBランク冒険者の証です!ベテラさんは注意しなくても分かってくれていると思いますが、一応言っておきます。と、このBランクバッチはCランク以下のバッチと違って再発行には時間がかかり、その間ギルドのクエストを受ける事は出来ない上に再発行料はCランク以下の倍以上はしますのでお気をつけてください。」
「・・・留意しておこう。」
「はい・・・あれ?これは?」
「サブクエだ。」
受付嬢は机にギリーゴブリンの耳が入っている袋以外にいつの間にか置かれているもう一つ更に大きい袋があった。
確認してみるとそこには小袋に分けられている薬草が複数、大袋にまとめられていた。
「あぁ、ステラさんのサブクエですね。承りました。報酬はステラさんに材料が届き、確認が取れ次第お支払いします。」
それを見た受付嬢は何のサブクエなのか?察していつも通りの手続きをしていた。
聞き耳を立てていた冒険者達はそのサブクエを聞いて驚いていた。
「ステラの婆さんのサブクエだと・・・?」
「それもあの反応からして定期契約済みだろ?・・・・俺なんて新入りの頃にあの婆さんからボロクソに言われた記憶しかないぞ。」
「当たり前だろ・・・あの婆さんの定期契約を勝ち取った冒険者は大成するっていうジンクスがある程だぞ。」
でも、ステラの婆さんはルーキーとしか定期契約を結ばないと言われているのにベテランであるベテラと契約を結んでいる事に驚いていた。
「それだけの才能を持っているって事だろ。」
「元々天才ルーキーのベテランか・・・俺たちみたいなうだつの上がらない冒険者とは住む世界がちが・・・・・」
「おい、どうした?」
冒険者の一人が実力のある冒険者が入ってきた事に喜びもあるが、見た目的に同じベテランと言われても良い年齢なのにこの圧倒な実力差を嫌になる程見せつけられてやけ酒を一気飲みする瞬間、手が止まった事に他の二人が不思議がっていた。
「おい、今アイツBランクなったよな?」
「あぁ、一年以下でBランクとは流石だよ・・・な?!」
「気が付いたか?」
「え?どういうこと?」
他の二人は察しが悪い同僚に呆れながら自分たちが気が付いた事に教えだした。
「・・・・・・今まで前歴があるベテランの冒険者はどうやってBランクまで上がっていった?」
「え?・・・確か、その戦歴や前職が分かり次第ランクを最大Bまで上げられて・・・」
そこまで自分で言って察しの悪い同僚も気が付いていた。
冒険者になるのは何も戦闘初心者のルーキーだけじゃない。
何らかの理由で軍を辞めた人間や道場などで修行を積んでから入る者も少なからず存在していた。
そんな人達はその前歴や前職の事実確認と、ある程度の実力を確認が出来次第、ランクを最大Bまで上げられていた。
Bランクからは実力だけで上げる事は出来ない。
絶対中立国家兼組織である冒険者ギルドには各国の情報が自然と集まってくる。
中にはその国の極秘情報もある為、各国のスパイがその情報をまとめて冒険者になる事があるのだ。
その為、ギルドでは最初から実力のある者、実力を隠している者はその人物の出身国から家族構成などを徹底的に調べ上げられたのちに、スパイの可能性がないと判断されてからBランクに昇進する事になるのだ。
それなのに今回ベテラは昇格クエストを受けて昇進している。
それは前歴なし、前職なし。
つまり、ベテラは何処かの道場か、誰かから師事を受けて実力をつけた者である事だ。
「だが、アイツの戦い方は・・・」
「あぁ、明らかに戦闘慣れどころか、魔物から、人まで様々なのと何年も血や肉がその身に染み込む程戦ってないと身につかない動きだった。」
Cランクが受けるクエストはBランクが受けるクエストの場所と被る事がある。
その為、他の冒険者に狩りやクエストをしている様子を見られる事は良くある事だった。
「・・・・・・じゃあ?どういう事だ?」
「分からん。Bランクになったという事は傷持ちではないだろうが、奇妙なランクアップだ。」
そう奇妙なのだ。
でも、それはベテラがベテランという条件が合っているという前提条件の場合である。
(約一年。やっとBランクか。・・・・・・軽いな。母さんのような重圧はまだまだだな。まぁ、未成年のルーキーとしてはマシかな。)
ベテラ、17歳。
まだ未成年のルーキーである。
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