カール・マルクス、うっかりスターリンの時代に転生する
@tomato0909
第一章 運命の車輪、資本の轢音
雨のロンドンはいつも通り陰気で、いつも通り資本主義だった。
私は傘も差さず、思索に没頭しながら歩いていた。
今日のテーマは「労働者階級による生産手段の掌握」。
朝からずっと頭の中で革命が起きていた。
社会の話をしてるのに、私自身は前方不注意――
これが最初の矛盾だった。
「階級は必然として対立を生む……
では、その対立を終焉させる歴史的契機とは……」
思考の流れに身体がついていかず、私は歩道から車道へとしれっと逸脱していた。
社会は逸脱を許さない。
というか、馬車はもっと許してくれない。
「どけどけどけえぇぇッッ!!」
御者の怒号と、蹄の音と、金融新聞をめくる音が同時に押し寄せる。
「資本の暴力が、まさか物理攻撃とは……」
私は“車輪の下のプロレタリア”として、
そのまま世界の下敷きになった。
ゴンッ。ゴロゴロゴロゴロ。
空が回る。
いや、回っているのは私だった。
地面が近い。視界が白い。
思考が重い。
理論が飛んでる。いや、私が飛んでる。
最後に聞こえたのは、御者の「やべッ、偉そうな髭踏んじゃった!」という声だった。
……あ、これダメなやつだ。
でも、ちょっと待って。
私にはまだ、歴史を変える使命が残って――
そこで、世界は一度、真っ暗になった。
次に目を開けたとき、私は知らない天井と、
“赤い星”のついた病院のベッドの上にいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます