第8話 晒された名前と身体

桜ノ宮学園の異常な校則がメディアで拡散され、全国的な話題となった後、事態はさらに過激な方向へと進んだ。ある出版社が、学園の女子大生たちをターゲットに、「桜ノ宮全裸女子大生写真集」というタイトルで本を出版した。そこには、全裸で過ごす罰則を受けた女子大生たちの写真が、顔と名前付きで掲載されていた。この新たな展開は、彼女たちに未曾有の羞恥とトラウマをもたらした。


写真集の登場

大学3年生の山崎彩乃は、ある朝、友人からの慌てたメッセージで目を覚ました。「彩乃、ヤバいよ…写真集が出たって!」リンク先を開くと、そこには大手通販サイトのページが表示され、「桜ノ宮全裸女子大生写真集」の予約受付が始まっていた。表紙には、見覚えのあるキャンパスの背景に全裸の女子学生が写っており、彩乃の心臓が跳ね上がった。


発売日、彩乃は近くの本屋に足を運び、震える手でその本を手に取った。ページをめくると、彼女自身の写真が目に飛び込んできた。全裸で図書館に向かう姿、顔が鮮明に写り、その下に「山崎彩乃(3年)」とフルネームが記載されていた。他のページには、大学2年生の西野真希、4年生の佐藤美穂、1年生の佐々木優香など、罰則を受けた女子大生たちの写真が並んでいた。すべてモザイクなし、名前付きで。


「うそ…私の名前まで…」彩乃は本を落とし、その場で膝をついた。店員が「大丈夫ですか?」と声をかけたが、彼女は答えられず、店を飛び出した。


晒された現実

写真集は瞬く間に話題となり、全国の書店やネットで売り上げを伸ばした。SNSでは「これヤバすぎ」「名前まで出てるって酷い」「でもちょっと気になる」と反応が飛び交い、購入者からのレビュー写真がさらに拡散した。彩乃、真希、美穂、優香——彼女たちの顔と裸体が、日本中の目に晒された。


真希は大学で友達から写真集の存在を聞かされ、すぐに確認した。自分のページを見た瞬間、彼女は「やだ…」と呟き、涙が溢れた。「西野真希(2年)」と書かれた文字が、彼女のプライドを粉々に砕いた。美穂も寮の部屋で写真集を手に入れ、「佐藤美穂(4年)」の文字を見て、頭が真っ白になった。「もう…終わりだ…」


優香は家族から「本屋で見たよ…どうしてこうなったの?」と電話で責められ、「ごめんなさい…」としか言えなかった。彼女の写真には「佐々木優香(1年)」と記載され、キャンパスを歩く全裸の姿が鮮明に残されていた。


ショックとおねしょの再発

写真集の衝撃は、女子大生たちの心に深い傷を残した。彩乃は毎夜、悪夢にうなされた。自分が全裸で笑いものになる夢を見て、目を覚ますと布団が濡れていることに気づいた。「うそ…おねしょ…?」彼女は子供の頃に克服したはずのおねしょが再発し、羞恥と恐怖で震えた。「もうダメだ…私の人生、終わった…」


真希も同様だった。写真集を見た日から眠れなくなり、ある朝、目を覚ますとシーツが濡れていた。「何!?私、また…?」彼女は慌てて布団を隠し、泣きながら洗濯機に放り込んだ。羞恥が彼女の心を蝕み、夜ごとのストレスがおねしょを誘発していた。


美穂は寮のベッドで毎朝、濡れたシーツを見つけた。「大人なのに…こんなの恥ずかしすぎる…」写真集で晒された屈辱が、彼女の精神を不安定にし、子供の頃の癖が戻ってしまった。優香も同じだった。家族に見られたショックで眠りが浅くなり、毎夜おねしょに悩まされた。「もう嫌だ…全部消えてほしい…」


学園内の波紋

写真集の発売は、学園全体に衝撃を与えた。学生たちが「見た?」と囁き合い、男子の一部は「有名になったな」と笑いものにしたが、女子たちは恐怖に震えた。「次は私かも…」「名前まで出るなんて最悪」と声が広がった。


彩乃は大学に行けなくなり、部屋に閉じこもった。真希は登校しても教室の隅で俯き、誰とも目を合わせなかった。美穂はゼミを休み、寮でじっとしていた。優香は家族の目を避けるように、学校と家の往復だけを繰り返した。4人とも、写真集による羞恥で心が壊れそうだった。


教師たちは「出版社に抗議する」と動いたが、校長は「校則は変えない」と頑なだった。外部からの批判が強まる中、女子大生たちは孤独に耐え続けた。


苦しみの中の小さな光

ある夜、彩乃は真希と電話で話した。「私、おねしょが止まらなくて…恥ずかしいよ…」真希が「私もだよ…写真集のせいで頭おかしくなりそう」と返すと、2人は泣きながら笑った。「こんな時でも一緒だね…」彩乃は少しだけ心が軽くなった。


美穂は寮のルームメイトに打ち明けた。「おねしょしちゃって…情けないよ」ルームメイトが「美穂のせいじゃないよ。こんな学校がおかしいんだから」と抱きしめると、彼女は「ありがとう…」と涙を拭った。


優香は友達とLINEで語った。「写真集で名前出されて、おねしょまでしちゃって…もうダメだよ」友達が「優香なら大丈夫だよ。私がついてるから」と励ますと、彼女は「頑張ってみる…」と呟いた。


写真集による晒されと、おねしょの再発という二重の羞恥に苦しみながらも、彼女たちは小さな支えを見つけていた。だが、その心の傷は深く、この異常な状況を変える力がまだ足りなかった。










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