天邪鬼という存在との思い出を語るかたちで進んでいくお話で、静かに胸の奥をくすぐられるような読後感がありました。言葉や行動がいつも少しだけ反対向きなその子の姿が、赤い傘や切り株の情景と一緒に思い浮かんできて、どこか懐かしい気持ちになります。「もし」の積み重ねがさりげなく綴られていくことで、過ぎてしまった時間への想いや、うまく言えなかった気持ちにそっと触れるような一編だと感じました。