第2話(前編)――「昼餉の席、進路は東へ」
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🟦『エルデン公爵家の末子』(第十一章第2話)の【登場人物】です。
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🟦『エルデン公爵家の末子』(第十一章第2話)【作品概要】です。
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🟦『エルデン公爵家の末子』エクリプス大陸の北部の紹介
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前書き
ヴェノマリスの昼餉で側女たちは腕を振るい、アレクは同時に統治の整備と人心の見極めを進める。行方不明のカシムについて問いただすと、エリザが「クバナ村に潜伏」と明かし、他の面々の証言も一致。アレクは情報の確度を確認し、即座に追跡計画の骨子(経路・人員・役割)を固める。
本文
1144年3月4日午前11時半。セイラ族本拠都市ヴェノマリス:アレク邸
第一側女:マリア・ファルガス (42歳)の指揮の下、5名の側女たちがヴォルテックス料理の昼食を作り始めた。全員側女となり、共通のスタートを切った。アレクの寵愛を勝ち取るための側女たちの熾烈な戦いが始まった。
側女たちはそれぞれの個性を活かし、アレクに対する寵愛を勝ち取るべく、食事の準備に全力を注いでいた。台所には様々な料理が並び、牛肉麺や魯肉飯、小籠包など、ヴォルテックス島の伝統的な料理が盛りだくさんだった。料理を作るだけではなく、アレクに如何に食べさせるか、側女たちは工夫を凝らしていた。
第一側女のマリア・ファルガス(42歳)は、母親のような包容力でアレクを優しく扱い、食事を細かく噛み砕いてから、さりげなくアレクに差し出した。彼女の動きは落ち着いており、経験豊かな女性らしさが光っていた。
第二側女のヤオ・ジン(38歳)は、武術家らしい強さを見せながらも、繊細さを併せ持っていた。彼女は弓矢の手際の良さを応用し、料理を素早く切り分け、アレクの口元に運んだ。彼女の動きは無駄がなく、アレクに対しても自信に満ちた眼差しを向けた。
第三側女のソフィア・ファルガス(35歳)は、外交担当らしく社交的で華やかだった。彼女は微笑みを浮かべ、まるで貴族の晩餐会でのように、アレクの口に一口一口運んだ。その優雅な仕草とともに、彼女は自分の魅力を最大限に発揮していた。
第五側女のラミナ・ファルガス(28歳)は美貌を武器に、彼の興味を引こうとしていた。彼女はアレクの隣に座り、料理をアレクに口移しで与えることで、彼の注意を一瞬でも独り占めしようとした。
最後に、最年少のエリザ・ファルガス(22歳)は、控えめながらも一生懸命アレクを助けようとし、彼のために特別なデザートを用意した。豆花をアレクのために丁寧に盛り付け、彼女なりのアプローチでアレクの心を掴もうとしていた。
食卓では、料理の味以上に、どの側女がアレクの目に留まるかが重要であり、女たちの熱い戦いが繰り広げられていた。
昼食後、アレクは
側女たちがアレクにカシム・ファルガスの居場所を尋ねられた際、最初に口を開いたのはエリザ・ファルガスだった。彼女はまだ22歳で、他の夫人たちほど腹黒さや計算高さを持ち合わせておらず、アレクに強い恋愛感情を抱いていたため、無意識のうちに真実を口にしてしまった。
「実は……カシムはアウロラニア大陸のクバナ村に隠れています」エリザは躊躇いながらも告白した。
その瞬間、他の夫人たちは彼女を鋭い目つきで睨みつけたが、すぐに表情を取り繕った。
マリア・ファルガスは冷静な表情を保ちつつ、「エリザの言う通りよ、アレク様。私たちもそれを知っていたわ」と、彼女に続いた。
ソフィア・ファルガスとラミナ・ファルガスも、それに同意するように頷きながら口を開いた。「そうです、確かにクバナ村です」
ヤオ・ジンだけは静かにそのやり取りを見守り、微動だにしなかった。彼女には、カシム・ファルガスに関する情報はなく、他の夫人たちが話す内容に特に興味も示さなかった。
ただ、彼女はこの場面でのアレクの反応を観察しているようで、アレクがどのような行動に出るかに注目していた。
その後、アレクは全員の意見を聞き終え、カシム・ファルガスがクバナ村に隠れていることを確信した。彼は冷静な態度で「よく話してくれた。これで行動を起こせる。ありがとう、エリザ」と微笑み、彼女に軽く頷いた。
アレクは、隣の寝室に籠もり、何やら思案をしていた。やがて決心の固まったアレクは、今回不遇であった第五側女のラミナ・ファルガス (28歳)をその場に呼んだ。
アレクは、ラミナ・ファルガスを寝室に呼び入れ、彼女が入ってくるや否や、その美しさに息を呑んだ。
ラミナの姿はまるで彫刻のように完璧で、彼女の豊かなバストと引き締まったウエスト、そして丸みを帯びたヒップのバランスが見事に調和していた。
青いトップスは彼女の女性らしさを強調し、黒のショートパンツは彼女のスポーティさと健康的な美しさを際立たせている。
アレクはしばし言葉を失い、彼女の美しさに見惚れていたが、やがて優しく微笑んで口を開いた。
「ラミナ、君の美しさには言葉も見つからない。君のプロポーションは実に見事で、まるで彫刻の女神のようだ」
「特に、その豊かなバストと引き締まったウエスト、それに対してボリュームのあるヒップが、君の体をさらに魅力的に見せている」
アレクは率直に彼女の魅力を褒め称えながら、目を細め、彼女の美しさを心から称賛した。ラミナは彼の言葉に照れくさそうに微笑んだが、自信に満ちた表情はそのままで、彼の言葉を受け入れた。
「ありがとう、アレク様。そう言っていただけるなんて光栄です」
そう応えながら、ラミナはアレクの隣に座った。
ラミナ・ファルガスの目に映るアレクは、まさに彫刻のように完璧だった。彼の広い肩幅から力強い胸筋、引き締まった腹筋に至るまで、すべてが均整の取れた筋肉で構成されていた。
彼の日々の鍛錬が、その肉体に刻まれており、一目見ただけで彼が持つ圧倒的な強さを感じさせる。
彼の逞しい腕は、あらゆる困難を乗り越える力を象徴するかのようで、その力強さにラミナは心を奪われる。
アレクの短髪と精悍な顔立ちは、その体躯に見事に調和し、彼の男らしさを一層際立たせていた。
シンプルに黒いパンツだけを身にまとい、リラックスした様子でソファに座る彼の姿は、どこか余裕と自信に満ち溢れている。
その自然体の表情と姿勢には、無理のない堂々とした風格があり、見ているだけで心を惹きつけられる。
アレクの引き締まった体型と、美しく整った容貌は、彼の内なる強さと余裕を反映しているかのようで、ラミナの胸を打つ。彼がそこにいるだけで、周囲の空気までもが一層鮮やかに感じられるような、そんな圧倒的な存在感が漂っていた。
惹かれ合うふたりを止める者は誰も居ない。アレクはたくましい腕でラミナを抱きしめ、普段は計算高いラミナを本来の女性らしいラミナに立ち返らせた。
当初はお互いに権謀術数を振るい、自分の有利なように持っていこうと試みていた。いざ、面と向かって見つめ合うと相手の魅力に打ち負かされ、欲望のままに振る舞わざるを得なくなっていた。
後書き
本前編は「家中の力学を整えつつ、次の目的地を特定する」回。誰が何を知り、どの順で動くかを明確にしたことで、後の混乱を避けられる土台ができた。次は航路の確定と艦隊編成、上陸後の交渉手順づくりへ移る。
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