第四舞 初めての舞
この組織は
(やっぱりアタシ、授業でそういうのを習ったのに忘れてたや)
その組織から受け取ったスマートフォンで、連絡を受ける以外にできることはないか、やっていいかどうかを、誰かに問いたくなっていた、特に、相手が、最初に説明してくれた
「無断で何かに登録することがなければ、いいぞ。ただ、自分のケータイでやれよってレベルのことは無理だけどな」
と言ってくれたのは、食堂でのこと。
そういう訳で、無料の地図アプリと音楽アプリだけは入れておいた、臨時の時と
自分のスマホでは、そういったものとゲームアプリがほんの少し入っているけど、近頃はあまりやっていない。今は自分の
で、ハマっているから今日も運動スペースに居て、変身後の姿での動きのレパートリーがどんどん増えていくのを実感した。やればやるほど。望み通りの筋肉を付けるのは難しかったけど、今や細身でもかなりの力。
「ちょっとアレを蹴ってみなよ」
そう言った男性が居た。
「面白そう」
蹴られたゴム板が倒れる、その際の衝撃の重さを測定する装置。まずはそれに向かって立つ。そして息を整えるために静かにスーハースーハーからの――
「フッ!」
見様見真似というよりは、最近似た運動を
「おー、
その測定機の画面には、アラビア数字で八百十五ポイントとある。
「大抵どのくらいなんですか? 普通の人だと――」
「まあ二百とか三百くらいだよ」
「へえ……こっわ! アタシこっわ!」
またある時。自分を鍛えたご褒美にと、コンビニに入った。
(何かいいのが無いかな~)
と、眺めてみた。
(お? これ気になる)
手に取ったのは、『しっとりガッチリチョコ』という箱状の商品。
買って本部の近くの川辺に来た。ベンチがあるので、座って、そこで、付属の
「えええ~、これ本当にしっとりぃ
また買いに来たいなぁと思った、その時だ、対
「え!」
電話だ。出てみる。
「あっ、も、もしもし、
アタシへの電話で合っているのかなという意味もあって、返答を待った。すると。
「クルミ
男性の声だった。
「その場所、
通話を切ってそのケータイをポケットへ。そして走った。
クルミ
「上司
と。そしてすぐあとで、
『意味不明ぇぇぇな説明ぇぇぇぇの癖してぇぇぇぇ俺のどこが悪いのってぇぇ顔ぉぉぉぉぉすんなぁぁぁぁ』
と、辛うじて聞き取れる呪いみたいな低い声で、黒い何かが
それはまるで山みたいなヘドロ。闇色のそれが、外周の走り込みの道の中の、テニスコートと並木の間で、
「ヴェェエエ~」
って言って動いている。
(あれを退治すればいい……? まあ問題の根本は根本で、現場の人たちが解決しなきゃ意味がない……のかな)
アタシは目の前の問題を。それが今のアタシの役目。
スポーティで元気な二十代くらいの女性が倒れていた。
(流石に
「任せて!」
そして前に――出た瞬間、蹴ってみた。
かなりの部分が弾け飛んだ。その一瞬で終わった……?
そんなワケが無かった。怒った
そして、
「フッ!」
強く息を吐くと、その際にきちんと
その勢いは、あちらのヘドロの速さ以上には見えた。
そこへ、飛び掛かって上から右手でグーパンチ。
「グェェ~」
そう言うと、
「本当の問題は、そっちで解決されますように」
アタシがそう言うと、その
そして、それは、その光に完全に包まれた。それが、空へ立ち昇っていく……。
(うーん……あれは正魔になれないのかな――何かの作品の中で、幽霊なんかは守護霊とかにグレードアップすることあるし。本当に退治するしかなかったのかな……まあ、退治担当者にはあまりよくない思考かもしれないけど)
そう思った直後、目の前に、急に、黒くて丸くて小さな、
「ぎう~」
と鳴いた。鳴いた。だからか、アタシは、命を感じた。
足元にちんまりと存在する。
(これが本体だったの? それとも凝縮されて小型化した? 変身? 変化した?)
とにかく何でもいい、これが、もし、悪いものじゃないのだとしたら。
(
「ぎうぎう」
それがとんでもなく跳ねて、胸に乗った。
(なんでそこに乗るの! 普通肩じゃない!?)
少し経ってからそれは肩に乗った。
(……? 何かが通じた?)
いや、というか、どういうこと? 舞うように戦ったあとで、まさかこんな事になるなんて。
(アタシなら、こういう浄化もできる? だって、これ、どう見ても浄化みたいなことにしか見えない。ほかの人だとこうじゃないのかな、どうなんだろう)
と、思った時だ。ずっと見ている人がいた、さっきの女性だ、
(うーんと……戦いは終わった
辺りを見て安全そうなのを確認してから女性へと視線を戻すと、アタシは、
「じゃ、アタシはこれで!」
そう言って去って行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なんて名前の人なんだろう……尾行して調査したいな……」
というか種類が違う気がする。逆に仲間にしているような。
強くて凛々しくもあり、可愛くて動きが凄く速い。
(住所はどこ?)
とりあえず、観察して解ったあらゆるサイズと特徴については、すぐにメモした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます