幸せな日々に愛を誓うよ。

恋と罰、ショートケーキ。

ねぇだぁりん。私ね、海に行きたかったの。誰もいなくて、青がどこまでもどこまでも続いている、優しい海に。ほら、だぁりんは今手足が使えないでしょう？だから私、車の免許をとったのよ。え、ペーペーの運転手には任せられないって？あはは、だぁりんったら面白いことを言うのね。こう見えても道路標識はしっかり理解しているつもりよ。…あら、思っていた返答と違った？なら、だぁりんは私の事まだ完全に理解していないのよ。いえ、むしろ理解するべき部分が増えたという事かしら。だぁりんはずっと下にいるから分からないだろうけど、私は日ごと成長しているのよ。この前だって、身長が0.8cmも縮んだわ。…それは退化って言うの？何でもいいわ、どうせだぁりんといる私は世界一幸せな人間だもの。だぁりんあのね、私あの日のことすっごく覚えてるわ、今でも夢に出るの。だぁりんがあの人から私を救ってくれたこと、とっても感謝してる。だぁりんが救ってくれなかったら私、今頃くだらない人と結婚してたと思う。だぁりんっていう素敵な人とと比べて欲しくないくらい、卑劣で、下品な人とね。…！だぁりん、今嫉妬してた？うふふ、他の人のお話を聞かせちゃってごめんなさいね。あ、ねぇだぁりん、今夜は月が綺麗よ。君の方が綺麗ですって？あは、だぁりんったら野暮なこと言うのね。そういうところも好きよ。……うふふ、だぁりんったら照れちゃった？そういうところも可愛いわ。だぁりん、お顔の包帯取れるかしら？やっぱりだぁりんは素顔が1番かっこいい、大好きよ。………………あ、味するかしら？お誕生日おめでとう、だぁりん。私の口の中にショートケーキを忍ばせておいたの。美味しい？それともだぁりんは喉が焼けちゃってるから美味しさより痛みが勝つのかしら。でもそんなことどうだっていいわ。あぁ、だぁりん。すっごく、すっごく愛おしいわ。ふふ、大丈夫よ、だぁりん。痛みも苦しみも醜さも愛情も気持ちよさも自由もなにもかも全て私が包み込んであげるわ。……そうね、だぁりん、月が綺麗ね。いっそこのまま死んでもいいくらいに、ね。