第9話 伝えられたこと
瑞華様の部屋に入ったあと私はその場に座り瑞華様は少し悩んだあとゆっくりと口を開いた。
「君にひとつ伝えないといけないことがある。聞いてくれるかい?」
「はい……瑞華様。なんでしょうか……?」
「神が花嫁を娶った時にはその花嫁を他の神にお披露目という形で見せないといけなくてね……」
「お披露目……ですか」
「あぁ、昔からのしきたりでね。こんな古いしきたりなんて無視すればいいと思っていたんだが……月魅が来たのもこの為だろう」
瑞華様は小さく息を吐きそっと私の髪を撫でてきた。
「……君には少し我慢をさせてしまうかもしれない。もし本当に嫌だというのならこの件はなんとしてでも断ろう。」
なぜこの方はこんなにも私を思うのか。私にはまだ分からないけれど……でも私が断ればこの方の立場が危うくなるというのなら私は頷くしか無かった。
「……天咲の家で我慢を覚えました。その日だけだというのなら私は大丈夫ですよ瑞華様。」
私がそう告げると瑞華様は少しほっとしたかの様な表情を浮かべたのを見れば私は自分の部屋に戻ろうと立ち上がれば瑞華様は私の手をそっと握り私は立ち上がるのをやめもう一度座り直した。
「……瑞華様?どうかされましたか……?」
「……良ければ君を名で呼んでも良いかい?」
「私を……名前でですか?」
その言葉に私は瞬きをした。何故そんな事を聞くのだろうか……そんな事を考えたあと私は笑みを浮かべ小さく頷いた。すると瑞華様は笑みを浮かべ握っていた手を離してくれた。
「ありがとう。おやすみ紫苑良い夢を」
「……おやすみなさいませ瑞華様。」
私はそう告げて立ち上がれば自分の部屋へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます