第四話 彼氏の"発言"に怒った私
「なぁ夕葉」
「」
「本当にゴメンって」
「」
「……」
ある日の昼休み、人気が少ない校舎裏でトーヤが私にメッチャ謝っていた。
「本当に許してください」
そうペコっと頭を下げる。
「……」
私はそれを少し頬を膨らませながら見つめる……。そして一言。
「許さない」
何が合ったかと言うと……。
朝の学校への登校中に私はトーカと話しながら向かっていた。
「そういや今日って何の授業あったっけ?」
「はぁ?知らないの?」
「いやー、忘れちゃったわー」
「しょうがないなー、物理、数学、現代文、保健、コミュ英、情報だよ」
「いや、早いって。もう少しゆっくりでお願い」
そういつも通りの会話をしながら学校へと向かっていた。けど……。
「そういやユウって
「
「そうそう」
「あー、知ってるよ。一年の頃一緒のクラスだったし」
「あ、マジ?それじゃあ康二に彼女がいることも知ってる?」
「知ってるよ」
「いやー、マジいい子だよな!」
「」
「本当に親切で愛くるしくてとっても可愛いよなー」
「」
「俺っ、その子と話したんだけどさー、マジ謙虚なんよ?本当に上から発言しないしまぁ、ユウとは少し違うタイプの子なんだけどな」
「」
「いやー、あんな可愛いとは」
「……」
プクぅ!!
「……あ……い、いやその!!悪い意味じゃないからな!?」
「もう手遅れ」
私は頬を膨らましながら怒っていた。
彼女の前で他の女子をこんなに褒め称えるのっていいことなの?
私は分からないからともかく、普通に怒ってる。
そして現在……。
「なぁ、本当に申し訳ない!この通り!!」
トーカは頭を下げてきた。
「何で謝るの?その可愛い子とお話ししてればいいじゃん?」
ニコっとしながら私は満面の笑顔で返した。
「いや、その……」
「私と違うタイプの可愛い子とお話ししてればいいじゃん?それじゃあ教室戻るから」
そう答えると私は颯爽と教室へ戻って行った。
「……」
◇◇◇
「あ、ユウ!!どこ行ってたの?」
私が教室へ戻ると友達の女子、
この子は愛くるしく誰に対しても人懐っこく接することができる。
そして黒のロングパーマの髪型をした子で正直、とても可愛くていい子。
「いや、ちょっと野暮用」
抱きつく涼衣の頭を撫でながら私は答えた。
「あ、ひょっとして香月君との?」
「!」
涼衣は私の耳元で囁いた。鋭いな……。
「そ、そうだよ」
「今日は何処か口数少なかったもんね」
「……」
「それじゃあ話の続きは食べながら話そっか!」
「……」
因みに私達が付き合ってることは特に話してないが周りの人達が察してくれている。今更だけど私とトーカが付き合い始めたのも高校から。
◇◇◇
「マジでどうしよう……」
「お前がそんなことをしなきゃいいだけの話だろーが」
燈火は一緒のクラスの友達の男子、
「つーかお前は夕葉が他の男子を褒め称える言葉を聞いたら少しは『ムッ』とってならないのかよ」
薫はメンズマッシュパーマの髪型をして小顔で黒の瞳をし鼻はシュッと高く顎も細い。そして背も高くスタイルがいいとてもイケメンな生徒だ。燈火と夕葉とは小学校からの付き合いだ。
「いやだってよ……本当に良い人だったからよ……夕葉も仲良く出来んじゃねーかなって」
「……つまり?」
「アイツって友達自体少ないからよ……元気過ぎる人だったり控えめ過ぎる人とかだと無理して接するところあるから康二の彼女さんはその中間って感じでどんな話し方だったりしても人に合わせて接するのが上手いから夕葉と仲良くなれんじゃねーのかなって」
「……」
「やっぱ勧め方が下手だったかな……」
「お前って良いことしようとするとそれが裏目に出やすいタイプだよな」
「え……」
「別にやましい気持ちが全くないんだったらもっかい頭下げて正直なことを言えよ。そうしたら少しは和解出来んじゃねーの?」
「……そうか?」
「ユウはそんな根に持つタイプじゃないだろ?本当のことを話せば分かってくれるだろ」
「……分かった。言ってみる!」
そうして燈火は立ち直ろうとしていた
◇◇◇
「本当にアイツ女心分かってない。普通、彼女の前でそんな他の女子のことを褒め称えて"可愛い可愛い"なんて言うもんなの?本当にさ…」
私は涼衣に頬を膨らませながら愚痴ってしまっていた。
「ねぇ、ユウ」
「ん?」
「少し深呼吸してみな?」
「え……」
私は言われるがまま深呼吸をした。
「ふぅー……」
私は少し落ち着いた
「香月君もそこまで悪気があって言ったわけじゃないと思うよ?」
「でも、何であそこまで彼女の前で他の女子を褒め称えるのか理解出来ないよ」
「んーー、何でそんな話をしたかは分からないけどさ……多分、"ユウに対して何か思い"があったんじゃない?」
「思い…」
「多分、その香月君が褒めていた子とユウに仲良くなってもらいたいとかさ」
「!!……確かにそんな考え方も出来るな…」
ちゃんと考えもせずに目先のことですぐ怒ってしまったけど、確かにその可能性もあるな。
「それに、まぁあまりされる側としては気分がいいものではないけどヤキモチを妬いてくれるのを待ってたとか?」
「え…?」
「ほら、なんて言うかさ……パソコンとかの電子機器は決められたことしか出来ないじゃん?まぁ最近はAIとかで自動で考えてくれるみたいのもあるけど……ともかく自動でできると言っても決められた範囲内……と言うより"予想できる範囲内"のことしか出来ない……ごめん、理解できる?」
「分かるよ。つまり、人とは違ってアドリブが上手くないってことでしょ?」
「そうそう!!流石ユウ!!やっぱめっちゃ頭良いね」
「はいはい…ありがとう。で、それで?」
「だから、その言われたら腹が立つだろうけど自分の想定外の反応を見たかったんじゃないのかなって」
「……つまり、他の異性の話をしてヤキモチを妬かせて自分に注意をひきたかった……そのアドリブと言うか予想できない反応を見たかった……と言うこと?」
「そうそう!!!」
「アドリブの例えは関係なかったでしょ」
私はクスっと笑って突っ込んだ。
「いやー、ユウみたいな例えみたく伝えれば伝わるかなって。本当に難しいねこれ」
「まぁ、最初は難しいけど慣れれば伝えられるようになるよ」
「頑張る!」
涼衣もニコッと笑顔で笑った
「……」
"気遣い"か"ヤキモチ"。
まぁ、トーカは前者の方だろうな……。
よく考えればアイツは人が傷つくノリみたいなのは嫌いだからな。私も少し怒りすぎたな……。
◇◇◇
「本当にごめん!お前と仲良くなれるだろうって良いところを言っていたつもりがお前を不快にさせていた!!」
トーカは頭を下げて謝ってきた。
「いいよ。私もこんなことでムキになりすぎていた。ごめん」
「許してくれるの?」
「許すも何も本当のこと」
「……ありがとな」
そうニコッと笑ってきた。
「……」
ヤキモチ……。
正直、見てみたい気もする……。
トーカがどこまで本気で私のことが好きなのかは見てみたい。
でも…、
「それじゃあ宇宙旅行についてトーカはどう思う?」
「は?いきなり何?話題逸らすの下手すぎだろ……」
「本気で引くなっ!」
私は不快にさせてまでトーカが気分を悪くするとこは見たくない
私に対して怒ってくれるのは嬉しいけど笑っているところをずっと……見ていたい。
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