第4話 幼馴染の妹に相談

 翌朝。初めてを経験したからといって、朝は変わらずやって来るもんだ–––。


「はぁ…あかりを突き放すつもりだったのに、何やってんだ俺…」


 言動から見ればただのクズ男じゃねぇか…?結局自分の欲望に抗えなかった俺は自己嫌悪に陥っていた。


 あかりを抱いた上で突き放す、という鬼畜な所業は流石に出来ない。そしてあわよくばまた出来たりしないか、などと考えてしまう。


 男ってホントに難儀なもんだ…そう頭を抱えていると、一緒に登校するためにあかりが家にやって来た。


『おはよう、和樹♪』


 昨日の事があったにも関わらず、何も変わらない幼馴染を見てホッとしたような残念なような気持ちになる。


「おはよう、あかり。ん?どうした?顔がちょっと赤いぞ?」


『へっ…?わぁっ、別に、な、何でもないよ⁈』


「なんかメチャクチャ怪しいけど…もし具合悪いんだったら無理するなよ?」


『ううん、大丈夫だよ。さっ、学校行こ?』


 あかりは否定したが、やっぱり少し顔は赤い気がする。それからなんとなくだが…照れている?ずっとあかりと一緒にいたからか、細かな変化には敏感になっちまったからな。


 昨日の事であかりにも心境の変化があったのか?そう思わざるを得なかった。


 色々と考え事をしてる内に授業はあっという間に終わり放課後になった。あかりは先輩とこれからデートらしい…モヤモヤはするが俺に口出しする権利は無い。


 たまには進めてなかったゲームでもやるか…そう思いながら校舎を出ようとした時、思わぬ人物と出会った。


『あれ?和兄ぃ…だよね?久しぶり!』


「…まなみか?そういや同じ高校に入ったってのに、校内で顔を合わす事も無かったもんな」


 あかりの妹であるまなみとは家が隣同士なため、姿を目撃する事はあった。でもこうしてちゃんと会話するのは随分久しぶりな気もする。


『そういやお姉ちゃんがゴメンね…和兄ぃにベッタリだったくせに、他の男の人と付き合い始めるなんて…』


「いや、それはまぁ…俺がヘタレだったせいもあるわけで」


『うーん、私はどうしても納得行かないのよね。というか、和兄ぃ…よく見たら元気なさそうだけど、やっぱりお姉ちゃんの事?私で良ければ相談に乗るよ?』


 そう言いながら俺の顔を覗き込む。あかりとタイプは違うが整った顔立ちで、客観的に見ても美少女だ。


 そんなもう1人の幼馴染にドキッとさせられたが、なんとか平静を装った。でも確かに俺以外であかりを1番見ているであろう、まなみに相談するのはアリなのかもしれない。


「それじゃあ悪いが…相談に乗ってもらえるか?」


『うん、勿論!お姉ちゃんの事もあるから家じゃない方がいいよね?あっ、ちょうど行ってみたいお店があるから付き合ってよ♪』


 そう言って俺の手を引っ張りながら駅前の喫茶店まで連れて行く。おっとりとしたあかりとは対照的に活発で元気なイメージが強いのがまなみだった。


 そう言えばクラスでもあかりの妹ってのもあって、既に注目を集めてて噂されてたな…。


 俺たちは窓際の席に座り注文をする。俺はコーヒー、まなみはこのお店で評判らしいフルーツパフェを頼んでいた。


「いやぁ、友達からここのパフェが絶品だって聞いてね?いつか来たいなぁって思ってたけど…まさか和兄ぃと一緒に来る事になんてね♪」


「ホントにな。それにしても昔っから甘いものには目がないな?」


『あれ、覚えててくれたんだ?甘いモノは正義だよ!』


「そうすると悪は体重計ってか?」


『うぅ…その話はしないでぇ…。いやいや、そうじゃなくって!本題に入ろ?和樹兄ぃの相談ちゃんと聞くからさ』


 俺はどこまで話すか悩んだが、恥を承知でまなみに全てを打ち明けた–––。

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