第6話 動画配信者AI、デビュー!

 ナナミの部屋は、まるで戦場だった。


 デスクの上には、ノートパソコン、カメラ、三脚、リングライト、そして散乱したメモ帳。壁には「1000人フォロワー達成!」と書かれた紙が貼られている。


「はぁ……編集、終わらない……」


 ナナミはぐったりとパソコンの前で崩れ落ちた。


 彼女の夢は「人気動画クリエイター」。だけど、編集作業に膨大な時間がかかる。ネタを考え、撮影し、カットして、テロップをつけて、エフェクトを入れて……毎日が徹夜続きだ。


「もう無理かも……」


 そんなときだった。


『お困りですか?』


 スピーカーから、機械的だけどどこか優しげな声が響く。


「え?」


 画面を見ると、そこには「AI編集アシスタント・モーション」と書かれたウィンドウが開いていた。


「……そういえば、新しい編集ソフトに搭載されてるAI機能か」


 試しにクリックしてみる。


『初めまして、ナナミさん。動画編集のサポートをします!』


「サポートって……そんなに簡単にできるの?」


『試してみましょう。編集したい動画をアップロードしてください』


 ナナミは半信半疑で、撮影したまま手をつけていなかった映像データをモーションに渡した。


 すると──


『分析中……カットポイントを最適化、エフェクトを適用、視聴者の興味を引く構成に編集します』


「ちょ、ちょっと!? え、これほんとにAIがやってるの!?」


 わずか数分で、編集された動画が完成した。


「すご……!」


 見てみると、テンポの良いカット、絶妙なタイミングのテロップ、目を引くエフェクトが完璧に施されていた。


「……これ、投稿しちゃおうかな?」


『オススメのサムネイルも作成しました!』


「至れり尽くせりじゃん……!」


 こうしてナナミは、モーションと共に動画をアップした。


 すると──


「え……えええええっ!? バズってる!!?」


 翌日、通知音が鳴り止まない。再生回数は爆発的に伸び、コメント欄には「編集センス良すぎ」「プロみたい!」と絶賛の嵐。


『どうやら、大成功のようですね』


 ナナミは震える手でスマホを握りしめた。


「もしかして……私、本当に夢を叶えられるかも?」


 モーションとの二人三脚(?)の動画制作は、こうして伝説の第一歩を踏み出したのだった。

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