第84話 モーリス様への説明
半刻後に、モーリス様がカフールさんを引き連れて、部屋にやってきた。
僕の方から、「エリーゼ様の病名が判りました。状況も含めて説明させていただきます。よろしいでしょうか?」
モーリス様が「なんと。では、治せるのか?」
「すみません。そこまで現段階では断言できません。ただ、少し試させていただき、その方法がうまくいきましたら、治せると考えています。」
「そうか、まだ、断言はできないのか。しかし、光明は見えておるのだな。
ならば、現状、わかっていることから、説明をしてくれ。」
「では、説明させていただきます。エリーゼ様の病名は、ガンという病です。この病は、身体の一部分が異常を起こして、周りの健康なところから元気の素を奪っていってしまう病気です。そして、異常を起こしている部分は、その元気の素を使って成長していき、どんどん大きく、そして、ほかの所に、異常な部分を増やしていくものです。」
「なんと、そのような病があるのか?」
「はい、この病気は、異常な動きをするとはいえ、もともとは身体の一部ですので、ヒールやハイヒールなどの回復魔法だけでは、治せないということです。
たぶん、教会の司教は、そのあたりの知識がなく、力押しで、治癒魔法?とやらを使い、健康な部分も異常な部分も含め回復させてしまい、異常な部分が余計に活性化して、病状を悪化させてしまったのではないかと思われます。
病状が悪化した理由、病が治らなかった理由は、エリーゼ様の信仰心が足りないなどではなく、その司教の知識不足が原因と考えます。」
しばらく、黙ったまま上を見上げ、モーリス様は黙っていた。
「そうか。心のどこかで、もしかしたらとエリーゼを疑っていた自分があったが、そんなことは無かったか。よかった。それが聞けただけでも、マリスに依頼を出したかいがあったというものだ。ありがとう。」
「いえ、まだ、病は治っておりませんし、私に治せるかは、試しを行った後となります。」
「そうだな。では、どのような試しをするのだ?」
「そうですね。準備は必要になりますが、まずは、私がその異常な部分を取り出すことが出来るか。その後、異常な部分を取り除いた後、回復魔法で、健康な部分に置き換えることが出来るかを試せないと、治療を行うことが出来ません。」
「確かに、先ほどの話を聞く限り、その異常な部分を取り除くなり、健康な状態に戻すなりしなければ、病は治せまい。で、どうすれば、試しとやらができる。」
「そうですね。換気がよく清潔で何もない部屋を用意していただくこと。大量の清潔なシーツを用意していただくこと。簡易で構いませんので、ベッドを用意していただくこと。出血があるかもしれないので、手伝いに血に強い女中かメイドを数名貸していただくこと。もちろん、口の固い者です。汚れても構わないエリーゼ様や補助して頂く方々の服を大量に用意していただくこと。あと、異常な部分を捨てるためのバケツというか桶を複数用意していただくこと。エリーゼ様達の服、シーツ、この桶は使い捨てしてもよいものですね。あと、庭の隅に、穴を掘っておいてください。捨てる異常な部分を焼却しますので、そのための穴となります。
用意していただくのは、これぐらいです。あとは、こちらで用意しますが、足りなければ、改めて、お伝えいたします。」
モーリス様が「カフール、控えたか?ならば、準備を頼む。で、いつから始める?」
「本日は、久しぶりにエリーゼ様はお休みになられていると思いますので、先ほどの準備が出来ましたら、エリーゼ様の様子を見つつ始めましょう。もし仮に治すことが出来ないと判断いたしましても、痛みを抑える魔法は、定期的にかけさせていただきます。」
モーリス様が、「そうか、では、その手はずで頼む。」と頭を下げた。
「いやいや、止めてください。頭を下げるなど。まだ、病が治っていないのですから。」と慌てて言った。
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