第10話 丘の上
おばあちゃんが元気だった時に、一緒によく寄っていた森の中の広場に向かった。
ここは、季節になると綺麗な花が咲いて、一緒に、お弁当を食べた思い出の場所だ。
でも、森の中だから、そのままだと、獣に荒らされるかもしれない。
周りを見回すと、少し離れたところに崖が見えた。あそこなら、ここの花もよく見えるだろう。
その崖へ近づいてみた。結構絶壁な感じだ。昨日までだったら、諦めたかもしれないけど、今は、身体強化が使える。
少し助走をして、崖を駆け上がる。なんとなくできると思ったけど、思ったより簡単にできた。
ここは、荒れてないから、獣もあまり寄り付かないと思う。
「おばあちゃん、ここで良いかな?おばあちゃんの好きだった広場も見えるし、遠くの山も見えるから。」
おばあちゃんを優しく地面に下ろして、穴を掘っていく。念のために、獣に荒らされないように深めに掘る。
何を一緒に埋葬しようか?おばあちゃんからの形見は、薬関係の道具と思い出だけでいいや。おばあちゃんを穴の底に横たえて、おばあちゃんの服とかの私物とともに並べて、土をかぶせていく。
離れたところにある大きめの石を上において、手を合わせる。
少しの間、佇んで、おばあちゃんとの思い出に浸る。
その後、「おばあちゃんの言うように、村を出ていくよ。いい思い出もないしね。たまに逢いに来るね。」
時間がかかってしまったけど、ファルスさんのところに行かなくちゃいけない。
急いで向かうことにしよう。
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