異世界転生したデスゲームの運営さん

そうえん

第1話 父さんな、デスゲームで飯を食ってたんだ


「名前はタケシさん。出身は」


私の名前はティーダ。冒険者ギルドの受付をやっている。自分で言うのも何だが、所謂看板娘と呼ばれるポジションでもある。クエストの受注から成果物の受取、収集品の買い取りとその交渉、時には冒険者としてクエストに繰り出したりもする。今こうして新人冒険者の登録なんてのも仕事の一つだ。

「文字綺麗ですねぇ」

今日も新人が一人世界へ羽ばたこうとしている。受け答えもハキハキしていたし、書類の注意事項もしっかり読み(ちゃんと読む人は少ない)、書類も若いのにしっかりと前職まで


備考:前職 デスゲームの運営業


「???????????」


一つずつ整理しよう。目の前の少年は教会が運営している孤児院出身だったはずだ。この大陸では一般的に10歳になると家業の手伝いなどで労働をし始める。少年兵もだいたい10歳が目安。農民や職人なら物心がつく頃には手伝いをしているという事もある。そして15歳となると大人として扱われ、自立していく。

彼は孤児院の出身なので商家や農家で奉公することなんてないはずだ。つまり15歳になったらその日かその翌日あたりにギルドに訪れて登録するというのが一般的だ。よほどの童顔という可能性もある。エルフや魔族といった亜人の血が流れていると見た目と実年齢が一致しない事はよくある話だ。


「年齢は15歳で間違いないですよね?」

「ああ」


スキルを発動しよう。私には嘘を見抜くスキルがある。

15歳になったその足で冒険者になるというのは、経済的な事情とか、身分的事情とか、あまり語りたくない理由があるものだ。だから嘘はある程度あるという前提で手続きをしている。よほど瑕疵かしがありそうな場合だけスキルを使う。


「書類に嘘は書いてないですよね?」

「もちろんだ」


反応がない。つまり本当に嘘はついてない。態度も少々気になるがそれもまぁいい。

年齢もまだいい。いや女性の年齢は分かりにくいとは言うが、私は高確率で年上だぞ敬えよ。いやでもそんなことよりだ。職歴の欄は年齢と身分の関係で当然ながら空欄だ。

なのにどうして備考欄に前職が書いてある。何でスキルが発動しないんだ。というかデスゲームって何だ。


「このデスゲームというのは」


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