6時9分

桐野アオ

ゼロイチ_東方閉鎖区域

6時9分、いわゆるシックスナイン

第1話

目を開けると車の助手席にいた。


柔らかい朝日だけど

寝起きの目にはなかなかキツい。

ほぼ水平に倒してた座席を元に戻すと

背中が筋肉痛みたいに痛くなっていた。最悪。


ひとまず絡まってる髪を指先でとかす。






あれ?って思って隣を見れば、彼がいない。



──あぁ。

彼ってのはまぁ、あたしの彼氏でして。


この地区一帯を牛耳って、

不良高校生をまとめてる

リーダーというか総長というか。


総長?





……そう、総長。



そんな男が「可愛い」を理由に

言い寄ってきて、

怖くて断れなかったあたしは

仕方なく付き合うことになった。


今は仕方ないとは思っていない。


そこまで嫌いでもないし、

はじめから嫌いになるような

エピソードもなかった。



したらまさかの溺愛地獄行き。

とんでもない束縛男だった。



別れを切り出そうにもそんなことしたら

自分の生命線を切っちゃいそうで

当然できるわけもなく。



結果、今。


ぐずぐず付き合ってるあたしは

仲間の車を拝借したそいつと

朝のコンビニに来ていた。


昨晩はいつものメンバーと

夜遅くまでバカ騒ぎして、


それからは彼氏とベタベタしてたから、

少し体がダルいし重いし、

気分もすっきりしない。



おまけに途中から記憶がない。

気付いたら寝てたみたい。






小説タイトル・節タイトル引用元 『hymen』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る