第2話

あたしはガラガラの駐車場を見渡して

彼氏の姿を探したけど見つからなかった。


ため息をついて座席に深くもたれかかる。


運転席は空。


キーは挿さったまま。

エンジンもかかったまま。

冷房もガンガンに効いてる。



 「……はぁ」



なんとも言えない気だるさが体を覆う。







高校2年のあたしだけど、

最近――というかここ2ヶ月は

まともに学校に行ってない。


暇だし退屈だし授業全般嫌いだし、

クラスメイト嫌いだし、

先生も何もかも嫌いだから。


だから、いかない。




そんなわけで、

平日の深夜から同じく不登校な彼氏と

気が済むまでいちゃいちゃして、


こうやって翌日の朝まで

独特なダルさを引きずってる。



振り返ると後部座席のシートには

ティッシュの丸めたのとか(は?)

あたしの先週買ったばっかのブラだとかが

綺麗な小鳥の亡骸みたいに転がってた。


あと浮かれたパステルカラーのパンプス。

が、一足。しかも片方だけ。




そんなだから今はノーブラ。

でも車から出なければ問題なし。



「はー。だる」



フロントガラスに向き直れば、

容赦ない朝日の眩しさに耐えられなかった。

何もかもがうざくてだるくて仕方がなかった。

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