第15話 若手農家 vs ベテラン!世代間対立の行方

🧭 導入の書:この物語のはじまりに

「そんな新しいやり方で、うまくいくわけがない!」

「時代は変わってるんです。効率を上げないと、農業は続かない!」

アースル村で、若手とベテラン農家の間に火花が散った。

きっかけは、若手農家・ロイが導入を提案した“精霊循環型栽培法”。

村の主・ガラン老は、代々の土を信じる“地力重視派”。

互いの信念がぶつかる中、風間が提案した“実験畑”とは――


🌾 本章:農地に立つ者たちの記録

「――お前、精霊なんかに畑を任せるのか?

農業は、人の手でやるもんだ!」


村の広場に怒号が響いた。


ベテラン農家の代表・ガラン老と、若手農家のロイ。

“伝統農法”と“魔法循環農法”――畑の使い方、肥料の撒き方、収穫のタイミング、すべてが食い違っていた。


「あなたたちのやり方は尊敬してます。でも、

それじゃ俺たちは、いつまでも“跡を継ぐ”だけなんです!」


ロイの叫びに、誰もすぐには応えなかった。



「風間さん、俺……間違ってますか?」


農協の休憩所で、ロイがぽつりとこぼした。


「“間違い”じゃない。

ただ、“正しい”って、時代や土地によって形を変えるんです」


「でも……変わらない人たちを、どう説得すれば……」


「……数字じゃ、心は動かせません。

でも、“畑”なら、結果で語れる」


風間は“実験区画制度”の申請書をロイに見せた。


「来季、農協の圃場で“従来農法区”と“精霊循環農法区”を並列で運用する。

収量、品質、土壌データ、魔力反応。全部、記録に残します」


「……見せてやるんですね、“畑の言葉”で」


ロイの目に、再び火が灯った。



半年後――


二つの畑は、村人の注目を集めていた。


ベテラン組の“地力農法”は安定の品質と、やや控えめな収量。

一方ロイの“精霊循環区”は、やや虫に弱かったが、魔力含有量が高く、薬草市場で高値をつけた。


ガラン老が静かに言った。


「……お前のやり方、“効きすぎる”のが、怖いんだよ」


「え……?」


「土ってのはな……育てたら、育てただけ返ってくる。

でも、急ぎすぎると“返ってこない”年もある。

それを知らんまま、早く実ると、“次”を見誤る」


「……はい。だから、俺もまだ試し中です。

全部が正しいなんて、思ってないです。でも――試したいんです」


沈黙ののち、ガランはうなずいた。


「……だったら、好きにやってみろ。

畑は正直だ。お前の答え、いずれ見せてくれる」



秋――


風間は村の記録台帳をまとめながら、つぶやいた。


「正しさは“今”にしか通じない。でも、

続ける者の想いは、時代を超える。

だから農業は、“ぶつかって”いいんだ」


🌱 収穫のひとこと

対立することは、争いじゃない。

想いをぶつけ合った先にしか――“次の畑”は、生まれないんだ。

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