第15話 若手農家 vs ベテラン!世代間対立の行方
🧭 導入の書:この物語のはじまりに
「そんな新しいやり方で、うまくいくわけがない!」
「時代は変わってるんです。効率を上げないと、農業は続かない!」
アースル村で、若手とベテラン農家の間に火花が散った。
きっかけは、若手農家・ロイが導入を提案した“精霊循環型栽培法”。
村の主・ガラン老は、代々の土を信じる“地力重視派”。
互いの信念がぶつかる中、風間が提案した“実験畑”とは――
🌾 本章:農地に立つ者たちの記録
「――お前、精霊なんかに畑を任せるのか?
農業は、人の手でやるもんだ!」
村の広場に怒号が響いた。
ベテラン農家の代表・ガラン老と、若手農家のロイ。
“伝統農法”と“魔法循環農法”――畑の使い方、肥料の撒き方、収穫のタイミング、すべてが食い違っていた。
「あなたたちのやり方は尊敬してます。でも、
それじゃ俺たちは、いつまでも“跡を継ぐ”だけなんです!」
ロイの叫びに、誰もすぐには応えなかった。
*
「風間さん、俺……間違ってますか?」
農協の休憩所で、ロイがぽつりとこぼした。
「“間違い”じゃない。
ただ、“正しい”って、時代や土地によって形を変えるんです」
「でも……変わらない人たちを、どう説得すれば……」
「……数字じゃ、心は動かせません。
でも、“畑”なら、結果で語れる」
風間は“実験区画制度”の申請書をロイに見せた。
「来季、農協の圃場で“従来農法区”と“精霊循環農法区”を並列で運用する。
収量、品質、土壌データ、魔力反応。全部、記録に残します」
「……見せてやるんですね、“畑の言葉”で」
ロイの目に、再び火が灯った。
*
半年後――
二つの畑は、村人の注目を集めていた。
ベテラン組の“地力農法”は安定の品質と、やや控えめな収量。
一方ロイの“精霊循環区”は、やや虫に弱かったが、魔力含有量が高く、薬草市場で高値をつけた。
ガラン老が静かに言った。
「……お前のやり方、“効きすぎる”のが、怖いんだよ」
「え……?」
「土ってのはな……育てたら、育てただけ返ってくる。
でも、急ぎすぎると“返ってこない”年もある。
それを知らんまま、早く実ると、“次”を見誤る」
「……はい。だから、俺もまだ試し中です。
全部が正しいなんて、思ってないです。でも――試したいんです」
沈黙ののち、ガランはうなずいた。
「……だったら、好きにやってみろ。
畑は正直だ。お前の答え、いずれ見せてくれる」
*
秋――
風間は村の記録台帳をまとめながら、つぶやいた。
「正しさは“今”にしか通じない。でも、
続ける者の想いは、時代を超える。
だから農業は、“ぶつかって”いいんだ」
🌱 収穫のひとこと
対立することは、争いじゃない。
想いをぶつけ合った先にしか――“次の畑”は、生まれないんだ。
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