第6話 農家に変異病発生!? 魔法肥料の副作用と人体への影響
🧭 導入の書:この物語のはじまりに
村の若き農家・エリオが、突如として倒れた。
全身の皮膚に“緑の斑紋”が浮かび上がり、魔力の暴走が止まらない。
原因は、数ヶ月前から使用していた“魔法肥料グラウンΩ”。
風間はギルド内部の資料に不審な改竄を見つけ、肥料の“副作用”と向き合う決意をする。
🌾 本章:農地に立つ者たちの記録
「風間さん……あの子、エリオが倒れました。魔力が……暴走してるんです……!」
知らせを受けて向かったのは、村の診療所。
そこに横たわる青年の体は、苔のような斑紋に覆われ、皮膚から微かに魔力蒸気が漏れていた。
「これは……“魔力感応過剰反応”。まさか人間にまで?」
エリオは若い農家で、今年から“新型魔法肥料グラウンΩ”を導入していた。
成長促進と耐病性の強化を謳った、ギルド推奨肥料――だったはずだ。
俺は、農協ギルド本部に残る試験報告書を取り寄せた。
だが、そこには違和感があった。
「……副作用欄が、まるごと削除されてる……?」
消された報告内容、未承認の配合元素。
そして、現場に押しつけられた“便利な魔法肥料”の影。
これは――組織ぐるみの隠蔽か?
*
俺は“グラウンΩ”の成分を独自に調査し、農薬師の協力を仰いだ。
そこに含まれていたのは、「魔力活性触媒レゾネイト」――人体に蓄積すれば、魔力体質を異常に高める作用があると判明した。
「土だけでなく、人にも影響を及ぼすなんて……!」
だが、ギルド本部の上層部はこう言った。
「現場が勝手に使った。責任は農家にある。我々の公式見解は変えない」
俺は、激怒した。
現場で汗を流す農家が、知らずに危険を背負っているのに、誰も責任を取らないなんて。
*
俺は、ギルド農協職員として、独自に動いた。
村の全農家に呼びかけ、「使用中止」勧告と回収ボランティア体制を構築。
被害状況を記録し、精霊医師と共同でエリオの治療法を探した。
結果、エリオの魔力過剰は数ヶ月で沈静化した。
だが、完全な回復はまだ先――副作用は、そう簡単には消えない。
「……ごめんなさい。俺、知らなかったんです。
畑が元気になるならって、信じてたんです……」
エリオが泣きながら言った。
「悪いのは、お前じゃない。知らされなかった俺たち全員だ。
でも、知ったからには――俺たちで止めなきゃいけない」
🌱 収穫のひとこと
“成長の代償”を、土だけに背負わせちゃいけない。
農業って、人がやってるんだから――人の命も、守らなきゃいけない。
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