【オフコラボ】ヤマトノコトノハ全員集合【タコパ】#21
アヤさんが枠を開けた。
モガとの呑みの後、ヤマノハ(ヤマトノコトノハのファンによって生まれた略称)でもやっぱり集まって結束を強めたほうが良いのではと、メンバーに伝えた。
めぐるとメロとは、部屋が近い関係で頻繁に会ってはいたが、モガとはやっと一回呑んだばかりだったし、もう一人のメンバーの獅子堂
アヤさんも自分のチャンネルの立て直しでいっぱいいっぱいだった。
関係値の濃淡がハッキリしてしまっていた。
年齢もバラつきがあるので、お互いどう接するか決めあぐねていた。
「やっぱり一回オフコラボしましょう」と、提案するに至ったという訳だ。
「はーい、聞こえてますか?アヤです。音量バランスどうでしょうか、はいオッケーかな⋯⋯はい、実は今日はですね、忙しすぎてオフコラボを一回もやってきてないのは流石にマズいということで、ヤマノハメンバーで親睦会をしようということになりました!拍手!」
「いよっ!いえーい!ふぉおおお!はーい。いえい!よーい⋯⋯」
「というわけで自己紹介、しとこっか?」
ライブ以外でやるのは久しぶりだった。
だが、誰も悪くはない。
きちんと休みたい時には休むべきなんだ。
「はーい、ヤマノハのヤニカスお姉さんこと城ヶ崎アヤです。最近ハマってるのは、某7のコンビニで売っているサラダパスタです。よろしく〜」
よし、次は自分の番だ。
「今日のたこ焼き奉行、斑鳩レイです。最近ハマってるのはアヤさんです」
コメント欄賑わってるな。
ちょっと恥ずかしくなってきた。
「ちょっ、てえてえ⋯⋯あ、めぐメロのめぐの方、石動めぐる、ぇす」
「めぐメロのネットミーム使わない方の
ノッてきた、いいねいいね。
「食べ専門の如月・モガドールだよ。ハマってるのは昼寝です」
もう一人の登場人物にも出てもらおう。
「⋯⋯え、ええと⋯⋯み、みんな久しぶり、また会ったね子猫ちゃん。ヤマノハの王子様こと、獅子堂 蒼真です。ハマってるのはメイドカフェ巡りです」
泣きそう
生きててくれてありがとう
そうくん待ってた
胸がいっぱいです
女だけどそうくんが好きです
「うん、良いんだよ女子が女子を好きになったって。素敵なことじゃないか」
「ごめんね、僕の顔と声がいいばっかりに惚れさせちゃって」
「仕方ないよね、僕、カッコいいからさ⋯⋯」
こうして戻ってこられるのはごく一部だ。
事務所を辞めていった仲間たちに幸あれと言いたい。
でも、別れるのは、つらい。
「そろそろ焼いていきますかね?」
めぐるとメロは飲み物の準備を頼んだ。
モガとアヤさんはタネ作り。
私は蒼真と具材の下処理をすることになった。
「復帰配信がこれって蒼真っぽいよね」
こうして話すのは半年以上前だ。
「そうかな、僕は気楽でいいよ。帰ってきたなってかんじがするし」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん、おい〜」
戻ってきてくれてよかった。
「アヤには、僕がデビューして、うちの事務所の唯一の「みんなが望む王子様」を、アロマンティックの僕がずっと続けていくべきなんだろうかって、相談に乗ってもらってね。色んな人紹介してもらったりして、本当に心が楽になったんだ」
話は聞いてたけど、蒼真も大変だったんだなぁ。
良い方向性に変わってよかった。
「アロマンティックのこと、そんなぬるっと言っていい感じ?」
動画を残すか微妙になってきた。
不安が顔に出たのか蒼真がフォローしてくれた。
「子猫ちゃんには最初の配信でお話してあるから大丈夫」
「そっか、ならいいんだけども」
「気を使ってくれてありがとう、レイ」
「よせやい、当たり前のことをしたまでよ」
蒼真は勇気がある。
男装の麗人、王子様を私生活でも心がけてる。
一歩踏み出した人間は強い。
そして、アヤさんはやっぱりかっこいい。
私も救われた一人として心からそう思う。
「アヤのおかげで、この世界で笑えるようになったんだよ」
「やっぱり凄いなアヤさんって⋯⋯」
「そうさ、ヤマノハメンバーみんなで支えてあげよう」
話しながらの作業で下ごしらえは終わった。
少しの間だったが、深い話ができてよかったと思う。
「おっけー、切れたからあっち行こう」
たこ焼きの具材を机に並べる。
プレートに液とタコにキャベツを放り込む。
焼け上がったのでマイクのある方へ集まり、いただきますをする。
「手を合わせて下さい。いただきまーす!」
「いただきます!」
久しぶりだったが声が揃った。
「変わり種も何個か入れてるから、撮れ高は心配しないでいいよ」
開口一番とんでもねぇこと言い出すんだから。
「そうだった、蒼真くんって真面目な顔してバラエティできるんだった、石動の慧眼もらってして見落としちまったぜ。もぐ⋯⋯あ、おいしい⋯⋯」
「ま、こういう時アタリ引くのはめぐるだから、アタシは食べちゃいまーす、あーん⋯⋯辛ッッッ!」
他には青汁、わさび、ホースラディッシュ、タバスコが入っていた。
全員何かしら当たった。
その後、酒を呑みだしたアヤさんと蒼真。
質問コーナーと王様ゲームを終えて出来上がってきた。
当然ながら危険な話題になっていく。
「達観してそうと思われるけど、そんなことないんだよ。性欲あるからね僕!」
「こえでっか、割れてるて」
つい笑ってしまった。
「だから好きって気持ちはどんどん伝えてね。ただ、他のライバーさんとか子猫ちゃんに迷惑はかけちゃ駄目だけど、僕は女の子、おねえさん、オタク女子さん達に好きって言われるのは嬉しいよ!」
「もっと女の子からチヤホヤされるように頑張る!」
うーん、そのムーブはモテないぞ。
「そういえばアヤさんどこ行った?」
「さっき寝室に行ってましたよ」
「メロち、教えてくれてありがとうね」
蒼真はもう爆睡していた。
さっきまで元気だったのに。
めぐるもメロの膝枕で寝息を立てていた。
「⋯⋯二人しか起きてないんで切っちゃいましょうかね」
「そうだね、今日はここまでにしよう」
久しぶりにはしゃいでしまった。
楽しかった。
「ですね、あ、今日は特に宣伝することないですよね?」
「うーんと、あったあった、新しい出会いボイスが明後日の23:59分まで買えます。復帰した蒼真の声も録ったので、懐に余裕がある方は手にとってみて下さい」
「よろしくね〜!」
「おやすみなさい。じゃあね」
配信終了。
「おつかれ、取り敢えず無事に終わったかな?」
「ですね!楽しかったです!ほれ、めぐる、起きてほら、片付けるよ」
「んあ⋯⋯あ、放送終わってたぁ⋯⋯」
のそりと起き上がった。
「危ないから座ってていいよ」
「はぁい⋯⋯」
メロちと片付けているとアヤさんが起きてきた。
「ごめんね、アタシガチで寝ちゃってた⋯⋯」
三人で片付けがすぐに終わった。
「うし、じゃあみんな順番にシャワー浴びてくださーい」
お泊り前提企画だから安心してほしい。
夜道は危ないからね。
その後はみんなで寝室で寝た。
蒼真のチャンネルの登録者は女性のみになった。モテて嬉しいらしい。
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