十二枠目 ナイトプール・イン・パラダイス
四人一組で様々な場所で宝探しをするゲームを、レイアヤとめぐメロの二人とともにやっていく枠がメロちのチャンネルで始まった。そう、このメンツはナイトプールに行った組だ。
「あ、そういえば、ナイトプールめっちゃ楽しかったですよね!」
「今日のメインいっちゃうか、まぁ、私はアヤさんの水着が見られただけでもハッピーの極みだったからマジで最高だったっていう感想に尽きるよね……」
「あんときはごめんなメロぉ……」
「レイちゃんは可愛かったなぁ、私しか見てなかったもん」
あの時のことは忘れられない。
着替え終わって、石動と共に待っているとアヤさんとメロちがやってきた。
「お待たせしちゃってごめんね」
「どうもどうも〜!今日はキメてますよぉ?」
アヤさんは落ち着いた印象だったが、羽織物を脱ぐと、気合の入ったバチバチのハイブランドの紐のやたら細いハイウェストオフショルダービキニ姿だった。
メロちは、今日の主役はあーしと言わんばかりの、純白のビキニ姿だった。
「どうかな、レイちゃん……今日は本気の人の前でしか着ない水着なんだけど……」
「オタクちゃんのために一軍の水着きてきてやったぞ!どーだぁ!」
目の前に現れた二人に、私達は釘付けだった。
呆然としていた。動けなくなっていた。
あまりの美に打ちのめされていた。
「……あんたちょっとこっち来な」
「ちょっと待ってよ、え、水着の感想は?嬉しくないワケ!?」
めぐるは来ていたパーカーを脱いでワンピースの水着になった。
無言でパーカーを着せようとするめぐるにメロちが反抗する。
「やめてよ!めぐるのために着てきたのに酷い!」
「……いいから着てって!」
やべぇ!メロちの声通るからバレる!
人が少なくて良かったぜ、ありがとうナイトプールの神……!
「まあまあまあ、メロち大きな声いったんやめよう……?でも、石動も黙ってちゃ、何したいのか分かんないからさ、ちょい、めぐるどうした?」
やっとめぐるの動きが止まった。
「……なんか、カノジョのあんな可愛くて色っぽい水着姿、先輩たちは良いけど、知らない他の人に見られたくなくないっていうか⋯⋯」
お前、可愛いな石動ぃ⋯⋯
眩しいほどに純情ガールだな。いいぞ。
「んだよそれ心配させやがって!惚気かよおい!」
「か、かわ……かっ⋯⋯めぐるちゃん⋯⋯かわ⋯⋯」
「はあああああああ!?馬鹿じゃないのほんと!」
「上等じゃん!タイマンで見せてやるよ洞窟エリア行ってきます先輩」
「いででで首入ってるって⋯⋯っ!ちょ⋯⋯助け⋯⋯」
メロちに引きずられて隣をめぐるが通り抜ける。
二人とすれ違ったときに、うっかり会話を聞いてしまった。
「⋯⋯二人きりになれる場所あるところ調べてあったっつうの⋯⋯!もっと自然に抜け出さないと先輩たちに気を使わせちゃうでしょ朴念仁!あほ!色ボケ童貞女⋯⋯!」
「ぐええええ⋯⋯メロごめんて⋯⋯まぁ、あんたとしてるから童貞じゃないけどね⋯⋯」
「ばか!口閉じてろよぉ⋯⋯!」
「見なよ、俺のメロを。カワイイだろ」
サムズアップしながら引きずられていった。
お若い二人は若いどうしでやったらいいだろうね。
最初から二人きりにするつもりだったから大丈夫だったんだけど。
アヤさんが腕に抱きついてきた。
「ねぇ、玲ちゃん、二人も行ったことだし、私達も落ち着いたところ移動しよっか?」
「そうですね、じゃあ何か飲みますか。そうだ、実はオススメのカクテルがあって⋯⋯」
私は彩さんを腕の中に迎え入れながら貝殻のフロートに乗っていちゃつかせてもらった。
お酒が回ってくると、彩さんは甘えたモードになる。
ボディタッチがあからさまに増えて、密着度がマシマシになっていく。
「ね、口移しってやつやりたい」
「人が少ないとはいっても、見られるかもしれないですよ」
「いいじゃん、見せびらかしちゃお?」
「⋯⋯しょうがないお姫様ですね」
一口含んで、腰に手を回す。
彼女と舌を絡み合わせてゆっくりと離れる。
彩さんの喉がこくりと鳴った。
「もっと、もっとほしい⋯⋯」
「これ以上はだめです。こんなに人がいるところじゃできませんよ。ここ、そういうとこじゃないですから」
「分かった、じゃあいい子にしてるね」
私の腕枕にアヤさんが頭をあずけてくれて、二人でたゆたった。
とても幸せな時間だった。
めぐメロの二人が本気ベロチューしながら盛っているところ目撃事件。
危うくバーテンさんに身バレするところだった事件。
解散後、私がほろ酔いの彩さんお持ち帰りした話は放送に乗せないことにした。
回想を終えてゲームに集中する。
「ナイトプールって言ってもパリピ前としたことはしてないよ、おいこら、めぐるお宝ぶつけてんじゃないぞ、ノルマ達成できないと帰れないんだから」
「分かってますけどむずいんですこれ、あ、割れた⋯⋯」
ナイトプール自体パリピすぎる
陽キャこわい
マブすぎて見れない
「怖くないよ〜おいで〜あたしはむがいだよ」
「そうだよそうだよ、アヤお姉さんと遊ぼう」
見せられる所なかったな今回は⋯⋯
アヤさんの水着姿は無料では見せられないし、メロちのはエッチすぎてだめ。
心のなかにしまっておこう。
また別の話題へ。
「レイちゃんと私、たまたま同じ時期に引っ越し考えてて⋯⋯」
「まあ、そうなんですよ。一緒に探してるって感じで」
あらあらあら
その話詳しく聞かせて
「あぁ、あたしもめぐると住んでますけど苦労しましたよ。どこも審査通らなくて焦りましたけど、めぐるが頑張ってくれて⋯⋯あ、これ内緒だったっけ⋯⋯」
ええええええ
めぐメロビジネスじゃないの
馬券買ってたよ私は
「あちゃ⋯⋯まあ、でもそんな大袈裟なことでもないからいいかも⋯⋯てかめぐメロの名前で怪しいダービーすなぁ!あ、これ事務所把握案件なんで大丈夫です」
聞いてない聞いてない。
それはバケモン。
最近の十代ヤバすぎ。
「へ⋯⋯へぇ⋯⋯いいじゃん同棲、楽しそうじゃんか⋯⋯」
「⋯⋯ふたりとも凄いね」」
この配信は「めぐメロの同棲確定配信」として祭りになった。
「ま、あたしたち付き合ってるカップルVなんだけどね、めぐる♡」
「な~メロ、愛してんぞ私の嫁♡好きだぞ♡」
ファンはまだ知らない。めぐメロの二人が本気だということに。
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