Vtuber同士の私達がリアルの世界で本当に結婚に至ったワケ
鬱崎ヱメル
一枠目 初顔合わせ
私は「斑鳩レイ」というバーチャルYouTuberをやっている田中 玲と言う者です。
そして今オフコラボをしているのは同期の「城ヶ崎アヤ」こと佐藤 彩さん。
彼女はいわゆる元タレントで、ネット上に記録はないのですが、どうやらとあるアイドルグループでリーダーをやっていたそうです。あくまで噂です。
アヤさんは明るく元気系、白い髪のロングヘアで声は高め、いわゆるアニメ声。
私は、いわゆるアカデミー出身の転生組です。
髪はアッシュブルーのナチュラルウルフで声は中性的、クール系の性格。
アヤさんは一度諦めたスポットライトの下に再び舞い戻るために、私はどうにかしてこの世に私の生きた痕跡を残すために、ヴァーチャルの肉体を手に入れたのです。
デビューしたときから考えると、とても親密な関係になってはいるけれど、出会った頃は特に強くは印象に残ってはいなかった。同僚、知り合いレベルの関心でした。
だが、今では彼女と出会えたのは人生の中でも最も喜ばしいこととなったのです。
アヤさんと最初に出会ったのは、デビューが決まった女性グループの「ヤマトノコトノハ」の初顔合わせの時だった。アヤさんは隣の席に緊張して座っていた私を見かねて声をかけてくれた。
「こんにちは。えっと、斑鳩ちゃんだよね、私は「あなたの心に咲かせる一輪の可憐な百合の花、ヤマトノコトノハの城ヶ崎アヤです!」どう?良い口上でしょう?」
「どうも。斑鳩レイといいます。というか、もうそこまで口上覚えたんですか⋯⋯ヤバい⋯⋯プレッシャーです⋯⋯あ、その、城ヶ崎さんの名乗り素敵でした」
「うん、気に入ってるの、この口上。褒められて嬉しい。ありがとね」
「え、あぁ⋯⋯ありがとうは私の方です。緊張ほぐれました」
第一印象はお互いに良かったと思う。
その後も、グループでの動画、箱内でのオンラインゲーム企画、ゲームのライブ実況、公式放送やヤマトノコトノハの凸待ち企画など、会う度に話しかけてくれるようになった。
私達が親睦を深めるきっかけとなった事がある。
グループの中で関係性がなさそうな二人のラジオが始まった。
「あのね、自己紹介では言わなかったんだけど、実はアニメ結構好きでさ、あの、ささ愛ってアニメってみたことある?甘酸っぱいラブストーリーで最高なの!」
「私もめっちゃ好きですそれ⋯⋯え、見てる人いたのめっちゃ嬉しい⋯⋯」
「じゃあきらり系も好きだったり?」
きらりとは、いわゆる百合というジャンルにハマる入口となる漫画雑誌のこと。
ここまで知ってるのは同好の士で間違いない!
「好きです好きです⋯⋯あの、じゃ、じゃあ、さくらトリートは⋯⋯」
「えっ⋯⋯あれ結構がっつりベロチューしてるよね⋯⋯まぁ、原作も持ってるしアニメはBDボックス買うまでハマったくらい好きかな⋯⋯」
何で城ヶ崎さんにもっと早く話しかけなかったんだろう。
「あれ、良いですよ。でもリスナーさんに勧めるのはどうかなぁ⋯⋯」
「私のアヤめいとは大丈夫だよ布教済だから」
「え、本当にそうなの?」
コメントが早くなる。
「そうそう」
「沼に落ちた」
「高校生女子だけど読んだ」
「勇気もらえましたよ」
城ヶ崎さんのリスナー層はしっかりしてるなぁ⋯⋯やっぱりすごいなぁ⋯⋯
モデレーターがコメントを監視しているので自治も効いている。まぁ、うちの事務所は法務部が強いのでなにかあっても対処してくれるので心配はしていない。
ただ楽しくて時間を忘れて喋っていた。
ただただオタトークを垂れ流す放送となってしまった。
「これレギュラー化しようよ!絶対楽しいよこれ!」
「ですね、週一くらいでやりましょ」
その場の勢いで定期放送が決まった。
タイトルは「レイアヤの高速詠唱を聞く壁になろう」なんてどうでしょうと提案してみた。
「壁ね、ぶっ⋯⋯めっちゃいいタイトル⋯⋯」
「それで、使うハッシュタグはレイアヤの壁でお願いします」
「うわなんかそれっぽーい!それ採用だよレイちゃん!」
うわああああ!急に距離を詰めてきたッッッ!名前呼び早すぎるよ城ヶ崎さん⋯⋯やはり学生時代はダンス部の部長の女は強かった。帰宅部陰キャには眩しいぜ⋯⋯
「城ヶ崎さんがそう言うなら良いんだけど⋯⋯」
「その城ヶ崎さんっていうの止めない?」
「えぇ⋯⋯じゃあ他にはなんて読んだらいいですか」
「アヤって呼んでよ。距離感遠いじゃんかぁ!」
ゔッッッッッ⋯⋯眩しすぎて消えそう⋯⋯
でもここは一歩踏み出していかないと駄目な気がする⋯⋯いや、アカデミー受けた時の緊張に比べたら大したことはない。いける。やれるぞ私。
「そうですよね、分かりました。二人のラジオ、やりましょう。ア、アヤさん⋯⋯」
「呼び捨てでもいいくらいだけど、名前呼ばれて嬉しかったから許してあげる」
そう言ってもらえてかなり嬉しかったのを覚えている。
ただの同僚から、同じ箱で頑張っている同期まで関係性が深まったと思う。
「とりあえず、これからよろしくね。レイちゃん♡」
「ぐふっ⋯⋯!ウインクの魔力凄すぎる⋯⋯こちらこそよろしくです」
彼女から恐ろしいほどのきらめきにこのペースで焼かれていたら心臓が何個あっても足りない気がしているが、同時にこの先面白い事がある予感がしていた。
その日私達は通話ソフトで二人だけのグループを作った。
こうして私達は、新たなユニットとしての第一歩を踏み出したのだった。
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