第27話:全員で挑め、ヒーローバトル

 「カレーは美味かったけど、量が鬼の様でした」


 テンセイベースにて、依頼を受けた感想を述べる。


 具が大きい事で有名なゴロゴロカレー。

 先日、依頼を受けてヒーロー仲間と組んで大食い大会に出てみた。

 大会前に悪の組織デプスの襲来があったが、返り討ちにできた。


 「特大ゴロゴロカレー、デカ過ぎっすね?」

 「これは、力士の食事かな? 灯希は良く乗り切ったな?」

 「私が出てれば楽勝だったのに♪」

 「これ、一人前なんだよね座布団くらいの大きさのお皿だけど?」

 「お腹いっぱい食べる灯希様、愛らしいですわ♪」


 うん、仲間達の反応はそれぞれだった。


 ゴロゴロカレーさんの公式サイトにアップされたその時の様子。

 ヒーロー達がギャグマンガの如く腹を丸くして倒れる中。

 俺だけが立ち上がって、空のカレー皿を頭上に掲げている構図。

 

 『カレーの大食いヒーローナンバーワン、テンセイレッド!』

 と大見出しで紹介されていたのは、少し恥ずかしかった。


 座布団位の大きさの皿にデカ盛りの牛角煮カレー。

 ヒノエの力で、食ったらすぐに完全燃焼させてなければ危なかった。


 「だが、怪人襲来事件も解決と良い宣伝になったありがとう♪」

 「賞金十万円は、俺が貰って良いんですか?」

 「ああ、出演料は事前に貰っていたから心配せずとも良い♪」


 博士の言葉によっしゃと、拳を握る。

 ゲーム機とか買えるぜ♪

 

 「副賞の一年間の普通盛り一杯無料パスは、折を見て使おうっと♪」


 赤いパスポートを見て微笑む、こっちのほうが嬉しいかも。

 ヒーロー界隈でカレー好きとして、名前が知られるようになるな。


 「私は、お椀でタワー建てちゃったよ♪」

 「黄河せんぱい、横のモノリスって食い終えた傍のお椀っすか?」

 「いや、蕎麦の墓場かい?」


 きびちゃんはドン引きし、清丸も唖然としながら黄河さんの戦果を見る。

 黄河さんが笑顔で俺達にスマホを見せる。

 俺達のわんこそばの概念が変わった。


 「実さん、流石ですわね」

 「どや~~♪ 大食い一等賞だよ~♪」


 黄河さんが永遠さんにも自慢する。

 うん、笑顔が可愛い一等賞だ。


 「僕達も、どうにか好成績を残せました♪」

 「きよ先輩と自分はぶっちぎったっす♪」


 清丸ときびちゃんも戦果を報告。

 二人が出たのは、ヒーロー達が横一列に並んで競争する陸上競技。

 清丸は府中の競馬場、きびちゃんは立川の競輪場で勝って来た。


 「私も埼玉のサッカー場で活躍して来たよ♪」


 緑山さんもヒーロー達の女子サッカーで華麗にシュートを決めていた。


 「私も、地味に優勝してきましたわ♪ ニンニン♪」


 永遠さんも、伊賀で行われた手裏剣競技大会で活躍。


 「うむ、皆よくやってくれた♪ だが、まだまだ稼がねばならん」

 「そうですよね、ロボが完成したら維持費が」


 世の中、生産と消費の繰り返しである。


 「ヒーローも経済からは逃げられないっす」

 「経済は、知性を得て進化した人の代償ですわね」


 魔王と商店主の子が同時に頷く。


 「世知辛さにも立ち向かえって事だろ? やってやるぜ!」


 負けてたまるか。


 「うむ、皆と牛が燃えているようで何よりだ」

 「博士、もしかして何かミッションでも来てるんですか?」

「ああ、私も含めてテンセイジャー全員にオファーが来た」


 博士が虚空にホロスクリーンを生みだして見せる。


 ヒーロー達がサッカー場でぶつかり合う戦闘風景。

 これはもしやヒーローバトルカップか?


 「ヒーローバトルカップっすね、自分達も出られるんすか?」

 「ああ、団体戦のルーキーリーグで優勝を目指そう♪」


 博士が熱く拳を握る。

 ヒーローバトルカップ。

 それは、ヒーロー達が己の技を振るい合い勝利を目指すバトル大会。

 正義のヒーローが、プロスポーツ業界に食いこんで誕生した競技。

 初夏の時期の春大会と秋の大会の年二回。

 ヒーロー達が鍛えた技や装備を競う合う一大イベント。


 「悪の組織と戦う実戦的な訓練にもなるから、悪い事じゃないな」

 「先輩達の胸を借りた上で、ボコボコにしてお返ししてやるっすよ♪」

 「あはは、きびちゃんはちょっとだけ落ち着こうね♪」


 清丸もきびちゃんも緑山さんも乗り気だ。


 「よっしゃ、皆で頑張ろうぜ♪」

 「「お~~っ♪」」


 こうして俺達は、更なる資金稼ぎの為にバトル大会へと出場する事を決めた。

 参加予定のルーキーリーグ、賞金自体はチーム全体で百万円と安めだ。

 しかし、名前も売れるし色々と支援も得られるようなので出る価値はあった。


 土曜日、俺達含む多くのヒーロー達がサッカー場のグラウンドに集う。

 運動会と同じで、都心から外れた取夢市のスタジアムだ。


 「お客さん一杯っすね?」


 ピンクが客席を見上げてはしゃぐ。


 「見る側から参加する側になるとは思わなかったな」


 ブルーも客席を見回す。


 「バトルくじって、ギャンブルだけど良いのかな?」

 「合法だ、問題ない♪」


 釈然としないグリーンをゴールドが宥める。


 「でも、出るからには勝ちを狙いに行くよ皆!」

 「イエローの言う通りだ、善悪双方に対して名を上げるぜ♪」

 「レッド様、勝負ごとになると元気ですわね♪」


 俺もイエローも闘志を燃やす。

 ブラックは少しおっとりだが頼れる仲間だ。


 開会式が終わり、第一試合が始まる。


 『第一試合、勇者戦隊テンセイジャーVS陰陽五行ニンジャーズの試合です♪』


 アナウンスが流れ、俺達はベンチから飛び出す。


 「前世は勇者、今世はレッド! テンセイレッド!」

 「前世は令嬢、今世はイエロー! テンセイイエロー!」

 「前世は文官、今世はブルー! テンセイブルー!」

 「前世は鬼狩り、今世はピンク! テンセイピンクっす!」

 「前世はエルフ、今世はグリーン! テンセイグリーン!」

 「前世は魔王、今世はブラック! テンセイブラックです♪」

 「前世は錬金、今世はゴールド! 戦う天才錬金社長、テンセイゴールド!」


 「「七人揃って、勇者戦隊テンセイジャー!」」


 個々の名乗りから全体名乗りで、背後から起こる大爆発。

 対戦相手の方は、俺達の前に七つの爆炎と共に出現した。


 「赤き火遁、火遁ニンジャー!」

 「青き水遁、水遁ニンジャー♪」

 「黄色い土遁、土遁ニンジャーだよ♪」

 「緑は木遁、木遁ニンジャーだ♪」

 「まばゆい金遁、金遁ニンジャー!」

 「白き陽遁、陽ニンジャー」

 「黒き陰遁、陰ニンジャーです」


 相手も七人、忍者衣装っぽいそれぞれの色のスーツとマスク。

 ベルトのバックルが属性を現す漢字の忍者ヒーロー達と向き合う。


 『忍者対転生者、勝つのはどっちだ? レディ、ファイト!』


 煽りの入ったアナウンスで試合開始。

 双方、相手のチームに連携は取らせまいと選手同士のタイマンとなる。


 「恨みはないが、勝たせてもらう! 火遁マグナム!」

 「炎は効かねえよ、テンセイシュート!」


 俺と相手のレッド、属性が被るので武器も技も似る。

 お互いにまずは牽制だと銃から火炎弾を発射し、撃ち合いとなる。


 「やっぱ、似た考えになるな! 白兵戦だ、フェニックスカリバー!」

 「その上競り勝つまで、火遁ブレード!」


 続いてもお互いに、刀剣型武器を装備しての白兵戦。

 仲間が気になるが、目の前の相手に集中しないと負ける。


 「鬼の剣を受けてみな、鬼火十文字!」

 「こっちは天狗の剣だよ、喰らえ新技の天狗羽返し!」


 相手のレッド、火行ニンジャーのマスクに赤い鬼の面が追加装着される。

 仮面から吐かれた炎が相手の刃に灯り、炎の十文字切りが飛んで来る。

 俺の方は、グルンと剣を回転させて炎のつむじ風を起こし飛んで来た斬撃を相殺。

 からの、連続切り下ろしでお返しする。


 「く、そっちも鍛えてるな♪」

 「まだまだ修行と成長中だぜ♪」


 相手もこっちの剣戟に対抗して受けて払いにかかる。

 似たようなレベルと装備、鏡写しのような相手との勝負が始まった。

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