第23話:レッドと黒いお嬢様
「あ~~、ようやくオフだ~~~!」
タタキアンの巨大ロボット怪人デコトーラ。
奴が破壊したアクアラインの修理に俺達も参加させられた。
巨大ロボって、建設作業にも使えるんだよなあ。
試験休みが道路工事で潰され、三日ほど仕事でアクアラインに拘束された。
自宅に帰った俺は、己の惰性を大解放してベッドの上でだらける。
『ピヨ~~~! やっとロボから解放されたピヨ~~!』
「ヒノエもありがとうな、ロボのサポートAIしてくれて」
『仕方ないピヨ、灯希の脳味噌では演算とか無理ピヨ?』
「無理、数学苦手なのに勘弁してくれ」
相棒である火の鳥のヒノエも俺の横でだらけて寝てる。
不死鳥もぐだる激務であった。
休みだけど、遊びに行く気力がない。
肉体は疲れてないけど、魂が休養を求めている。
「もう、今週は敵に出てきて欲しくはないな」
『そう言う事を言うと、呼び出しが来るピヨ?』
「うん、フラグは立てたくないな」
言霊と言う物はある、何か言うとフラグになってしまうんだ。
「フラグなら、恋愛フラグが立って欲しいぜ」
『イエローの子とか、天狗のお姉さんがいるピヨ?』
「いやいや、俺が黄河さんに? 黒羽さんもからかってるだけだって!」
黄河さんの事は好きだけど、向こうが俺の事を好きだとかはないだろ。
あれよ、今の時代は男は下手に動くと地雷踏んでさようならだぜ?
戦隊仲間で恋愛はサークルクラッシュと同じ危険がある。
とはいえ、俺も思春期真っ盛りだしリア充になりたいし一族を絶やしたくない。
前世でも、魔王を倒したから青春を謳歌しようとした矢先にタタキアンに!
「今世こそ、恋愛して結婚して子孫残してえなあ」
『恋愛は足取りが重いのは今世もピヨね?』
「ヒノエがモンスター娘になって、俺と結婚してくれたらいいのに」
『ま、まあそう言う方向性も考えておくピヨ♪』
相棒とベッドに寝転がりながら他愛のない話をする。
こう言う時間が魂を回復してくれるんだ、多分。
赤い甚兵衛姿で何を言ってるんだと思うが、ヒーローも休息は必要なんだ。
「灯希~~~? お客さんよ~~?」
「ん? 祖母ちゃんが呼んでるな?」
『誰ピヨ?』
下の階から祖母の呼び声が聞こえたので起き上がりヒノエと一緒に部屋を出る。
玄関に行くと、何かヤバいお嬢さんがいた。
黒い着物に黒く長い髪、真っ赤な目で吸血鬼みたいに白い肌。
目鼻立ちは西洋人的な整いで、美少女だし胸も大きめだがヤバい。
「……えっと、どちら様ですか?」
「この姿では初めまして、ようやくお会いできましたわ勇者ヘリオン様♪」
謎の美少女は、俺の前世の名前を知っていた。
ちょっと待って、マジで誰だ?
「今は
「お付き合いさせていただきます、公園でどうです?」
「ええ、喜んで♪」
俺は祖母ちゃんに出かけると言い、美少女を伴い近所の公園へと向かった。
「ここなら良いかな? あんたは誰だ、只もんじゃねえのはわかるが?」
人気のない公園の噴水前、ここならまあ何とかなる。
一応、気持ちを戦闘モードに切り替える。
外側が美少女だからと油断はできない、悪い奴は天使の顔をしてるもんだ。
「まあ、熱い視線ですこと♪ 懐かしいですわ♪」
美少女は笑顔で受け流す、この感じからして前世の仲間って感じじゃねえな。
何だよ、ちょっとだけ前世の仲間との再会かと期待してたのに!
いや、ワンチャンあるのか? お姫様とかだったりする。
「すまないが、前世の記憶は最後の時以外はほとんど覚えていないぜ?」
「それは残念ですわね、前世の続きと行きたかったのですが」
「もしかして、魔王の関係者か?」
淡い期待を捨てて尋ねる、これは前世の敵の可能性が高い。
「我が名は黄昏の魔王トワイライト♪ 勇者よ我がものとなれ♪」
「悪い、今は勇者じゃなくて戦隊レッドなんだわ俺」
「そんな! 前世では、結婚の約束までしたのに!」
「いや、どういう事? 俺が倒した魔王だよね、何があったの?」
何か魔王を名乗るヤバいお嬢さんだな、事案か?
「この
「いや、知らんがな! はいはい、永遠さんって素敵なお名前ですね~」
凄い残念な奴だなこの自称魔王、面倒くさい。
なんかもう、お土産とか渡してお家に帰ってもらおうかな?
「まあ嬉しい♪ 永遠に愛される娘だと、今世の両親が付けてくれましたの♪」
「いや、魔王とか言いつつ今の人生満喫してるなおい! 良いご両親だなあ!」
うわ、チョロ!
何か庇護欲が出て来て放置できねえタイプかこいつ!
「まあ、サイン色紙とグッズ上げますから前世はともかく今を生きて下さいね♪」
「……は、それはつまり私との結婚の結納と言う事♪」
「未成年何で法的に無理です、そう言うのは世界が平和になったらで」
虚空から召喚した、サインとソフビなどのグッズ入りの袋を渡す。
取り敢えず、前世の事は気にせず今を生きてくれ!
何か凄い幸せそうな人生みたいだし、前世とか良いじゃん。
「つまり、私が世界平和に協力すれば良いんですのね♪」
「え、ちょっとあなた思考回路は大丈夫ですか~?」
「魔王と勇者が因縁を超えて愛し合い、手を取って世界を守る♪」
もしかして、俺の言葉を都合よく変換してねえか?
すげえ頬っぺたピンク色に染めてうっとりしてるよこの人。
いや、そんな仕草が愛らしいのが腹立つわ~!
「今日はあなたと私の出会い記念日♪」
「いや、そんな記念するような事はないから!」
俺、もしかして選択肢を間違えたか?
いや、何もコマンドウィンドとか出てねえし!
『ちょっと待つピヨ! 何で魔王まで転生してるピヨ!』
「あら、誰かと思えば太陽神の使徒フェニックス?』
ヒノエが出てきて驚く、ヒノエの力で生まれ変わったんじゃないの?
「私、前世の頃に自分で転生術を施しておりましたの♪」
ほほほと高笑いする永遠さん。
とんでもねえ爆弾が出て来やがった。
「まあ、前世は前世で今を生きてくれ」
「ええ、今世こそあなた様と結ばれて見せますわ♪」
「いや、俺は俺の人生を生きるんで」
「人は一人で生きる物ではありませんわ♪」
「魔王が言う台詞か? いや、あんた一般人だろ巻き込めるかよ!」
そうだ、俺はヒーローとして一般人を巻き込むわけにはいかん。
「では、私もヒーローとなれば宜しいのですねかしこまりましたわ♪」
また俺の言葉を都合よく解釈しやがった?
魔王を名乗る着物姿の美少女は、グッズの紙袋を持ってご機嫌で帰って行った。
「取り敢えず、博士に報告しておくか」
『灯希、フラグビルダーピヨ』
「いや、フラグ何か立てた覚えはねえってばよ!」
『無自覚ピヨ!』
公園の噴水前でヒノエと漫才をする。
くそ、現代だから前世みたいに武力で解決できねえ。
万年亀永遠、恐ろしい女!
取り敢えず俺は家に帰り、着替えてから基地へ向かう。
「……ふむ、前世の縁との再会か」
「どうすりゃいいんですかね?」
博士に万年亀永遠と言う元魔王の存在について報連相をする。
「うむ、その女性に対しては丁重に扱うしかあるまい」
「マジっすか? いや、そうしないと不味いのはわかりますが」
「敵対されるよりは良いだろう、他のメンバーにも情報の共有をしておこう」
「そうですね、戦隊の行動にも支障が出ると不味いですし」
他の仲間にも、前世の因縁との再会があるかもしれない。
俺と博士は、万年亀永遠と言う謎の存在について警戒をする事にした。
敵にすると厄介な奴は、味方にしても厄介なんじゃなかろうか?
そんな事を思わないでもないが、俺にはこれと言って打つ手が思いつかなかった。
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