第11話『うちのカレンダー、納豆の日だけ祝日になってる』

 朝起きて、カレンダーを見たら――


 7月10日(納豆の日)に、“祝”って書いてあった。


 しかも、文字がちょっと糸引いてる。


 ***


「え、祝日……だったっけ?」


 スマホで調べても、そんな情報はどこにもない。


 でも、家族も当然のように休んでる。


 母「今日は“粘り休み”だから、ゴミ出しは明日ね〜」


「ね、粘り……?」


 ***


 学校に向かうと、校門の前に貼り紙が。


 > 『本日は納豆の日につき、終日休校とします。

 なお、糸引き事故にはご注意ください。』



 ***


 クラスのグループLINEには、


「ネバ休サイコ〜!」

「朝から納豆パフェ食ったわw」

「納豆神社いく人〜?」


 ……みんな完全に受け入れてる。

 ていうか納豆神社ってなに!?


 ***


 テレビでは納豆番組しかやってなかった。


「発酵バトル!ネバリ王決定戦」


「納豆と結婚した男」


「粘りすぎて地球を救った話(再)」



 ***


 もう訳が分からなくなって、

 カレンダーの製造元に問い合わせてみたら、

 返事は一言。


「あなたの努力が足りない時、カレンダーは“ネバれ”と言います。」



 ***


 夜、布団に入ると、

 耳元でふわっとささやく声が聞こえた。


「明日も、ネバってこ〜〜♪」


 ***


 完(次の日、味噌の日だった)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る