第12話 小さな救い

朝、学校に着くと、階段の両脇にちえとマリが立っていた。

私を真ん中に挟み込むようにして鋭い視線を浴びせてくる。

ただ通り過ぎるだけなのに心臓がぎゅっと縮むような感覚。

その冷たい視線に追われながら

重たい足取りで教室へ向かった。


やがて、彼女たちのいじめは形を変えて現れる。

机の中に入れておいたプリントは気づけば破かれて

ぐしゃぐしゃになっていた。

誰がやったのかは言われなくても分かる。

背後でひそひそと笑う声が答えのように突き刺さった。


陰湿な仕打ちに、また孤独の闇へ引き戻されそうになる。

そう思ったとき、私には中学時代にはなかった存在があった。


「おはよう」

「一緒に行こ」


声をかけてくれるのは、みほ、なぎ、そしてまい。

3人で呼び合い、笑い合うその時間は私の心に灯りをともすようだった。


彼女たちがいたから完全に押しつぶされずにすんだ。

中学のときと大きく違ったのは私に話しかけてくれる友達がいたこと。

その存在が、何よりも大きな支えだった。

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