時震

「ジシンの避難訓練をします」

 先生がそう言ったので、防災頭巾でも被って校庭に出るのかと思ったら、普通に授業が始まった。

 俺は小声で、隣の席の学級委員長に聞いてみる。

「なあ、午後3時から地震の避難訓練じゃないの?」

「そうだよ、今からだよ」

 そう教えてくれたとき、スピーカーが鳴り響いた。

「訓練、訓練! ジシンです」

 

 次の瞬間、教室から全員が消えた。

 煙みたいに。


 俺は死ぬほど驚いた。

「なんで? なんで?」

 1分間、辺りを見回していたら、パッと皆が現れる。

「ねえ、訓練だからってサボるの、良くないよ」

 学級委員長が怒った顔で言う。午後3時1分。

「なんで消えたの、今?」

「避難だよ。真面目にやろうよ」

「何の避難? 地震じゃないの?」

「あっ、漢字を間違えてない? 方の、『時震』だよ」


方?」

 学級委員長は俺のとぼけた顔を見ると、はっと口を覆った。

「えっ、まさか知らないの。時間に活断層ができて、数十秒間、世界が崩れ落ちるんだよ」

「どういうこと? なんでみんな消えたの?」

「1分後にタイムリープするんだよ」

「どうやって?」

「どうやって、って何? もしかして、タイムリープ、苦手なの?」

「苦手って言うか、やったことがないと言うか……」

「やったことがない?」

 学級委員長は眉をひそめる。

 俺がおかしいのか? 普通の人間って、タイムリープできるの?


 そのとき、生徒たちの隠し持っていたスマホが一斉に鳴った。

「緊急ジシン速報。緊急ジシン速報。ビー、ビー、ビー」

 クラスの皆が驚いて、顔を見合わせる。

 こんな偶然があるのか。俺は防災頭巾を被ろうとする。


 次の瞬間、教室から全員が消えた。

 煙みたいに。


 俺は死ぬほど驚いた。

「えっ、まさか……ジシンって、時

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