練習問題④ 問1【スタートダッシュ】
遥が何度か軽く跳ねた。全力疾走前の準備として。本人は軽く跳ねているつもりだが、背が高くがっしりとした彼は体重もある。跳ねて、着地、跳ねて、着地、そのたび地面が揺れる。本当に恵体だよな、と蒼汰は遥を見上げた。だからって負けっぱなしなのは癪に障る。勝つために必要なのは研究だ。遥が習慣にしている走り込みでタイム測定係に名乗り出たのは彼のフォームを観察するのが目的だった。「よーい、スタート」声をかける。途端、遥が跳ねた――地面と平行に。そうとしか言えないような勢いあるスタートダッシュ、真似しようがない大股の第一歩。翼が生えたように、もしくは駿馬のように駆け、あっという間にゴールラインを越える。彼の走りをこれほど間近で見たのは初めてで――戻ってきた遥は蒼汰がタイマーをストップさせてないことに首を傾げたが、謝るどころじゃないくらい、蒼汰の心臓は跳ねていた。
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