襲撃

「遅くない?」

 スレイが話した。

 ひとまず今日は街を探索するくらいだからと話していたのに、少し遅れているな。

 ヴィンはスレイに探しがてらに街ブラしようかと話した。どうせメシも食べに出かけないといけないんだし。

 交易港だけある。

 たくさんの人種がいた。

 肌の色、服装、獣の顔もいたし、野良犬でも召喚獣らしいものもいる。

 夕暮れでも賑やかだ。

「遠くに船あるね」

「だな」

 二人とも夕闇に浮かんだ船を見つめた。

 船が珍しいのではない。

「スレイ……」

 今の幌馬車、匂いがすると話した。

 匂いか。

 来てわかったことだ。

 ここは嫌な港だ。

 露店で何か挟んだパンを二つ買った。

「ひとまずこれですまない」

「おお!?おごってくれる?」

「そりゃまあね」

「お腹ペコペコなんだよね。てかヴィンのお師匠様はこの街へは来たことあるの?」

「あの人は召喚主が死んでからもいろんなところ旅してるからね。どして?」

 スレイは港の縁に腰を掛けた。

 ここは故郷の世界にある港に似ているとサンドイッチを詰め込んで話した。

「ほぉれい」

「はい?」

「奴隷」

 だからシュミットはスレイを送還するのは考えろと話していたのだ。

 ヴィンは近くの怪しい人に尋ねた。

 船乗りだな。

「あの船に乗れないの?」

「どうして乗りたいんだ」

「スタリングへ行きたいんだ。知り合いがいてね。ここまで来たんだけどさ」

「ちょうどいい船があるぜ。スタリングへ行くくらいなら三日だ。カネは?」

「ある」

 何度か交渉して商談が成立した。

 今夜、ここに来いと。

 前金で一シルベ渡した。

「そっちはいい女だな」

「口どけばいい。船に乗る」

 宿に戻る途中、通話ボックスでアスタクに通信を試みて無視されたのでシルクにかけた。

『ヴィン姉じゃん。どうしたの?』

「忙しいの?」

『いろいろとね。何?』

「ツルマイにいるんだけどさ。弟子が姿を消したんだ。奴隷市場とかあるか?」

『あるね。召喚獣を売買してる。ていうかスタリングが召喚獣やらを求めてる』

「詳しいな」

 回線に割り込んできた。

『おう。ヴィンじゃねえか。どうした』

「アスタク、忙しい?」

『それほどでも。おまえんところの妹をおちょくってるところだ。ツルマイにいるのか』

 スレイが映り込んて、後ろのスレイ気づいたアスタクが思い出したように笑った。

『今、沖に何隻かある。三隻か。多かれ少なかれやってるが一隻は完全な奴隷船だ。今夜港を出る奴が怪しい。調べた調べた』

「もう奴隷は乗ってるのか?」

『知らんな。お?シルク、そんなんじゃ簡単に突破されるぞ。罠のつもりだろうがな』

 フレンシアがツルマイの隣の村を開発することになると思うぞと教えてくれた。理由は交易港を自社で持ちたいというのは表向きだ。


 夜、待ち合わせ場所に来た。

 スレイはナイフで武装していたし、ヴィンも剣を隠し持っていた。カンテラの灯の中、ジャラジャラと鎖の音がした。

「こっちは客だ」

 一人が命じた。

 ボートに乗ると、他の客もいた。

 もう一艇は葬列のようだ。

 煙草に火をつけた紳士風な彼がスレイを値踏みするように見たので、彼女は魅力を少し見せて隣にくっついた。

「わたしにもいただける?」

「かまわんよ」

「あちらにもお客様が?」

「ま、商品だな。私のもある」

「お高いの?」

「そこそこは」

 オールでカラック船に近付いた。

 想像以上にでかい。


 タラップから甲板に乗る頃、すでにスレイは紳士風をたぶらかしていた。

 奴隷がタラップを上がる。

 女しかいない。

 獣人もいる。

「あ?」

 グランが繋がれていた。

 何してるんだ。

 ヴィンが同粒を指で弾いた。

「痛っ!」

 キョロキョロした。

 あっ!

 静かにしろ!

 グランは一緒に歩いている女に何やら話したところ、彼女はヴィンに申し訳なさそうに指輪をチラッと見せた。

「知り合いか?」

 船乗りが話しかけてきた。

「嫌。買えるのかと思ってね」

「値踏みか。高いらしいぞ」

「スタリングでもか」

「ああ。召喚獣特別法てのができてスタリングに逃れる。力のある奴は労働力、魔力のある奴は軍、女は娼婦だ」

「言うこと聞くのかよ」

 媚薬でも嗅がせるか、言うことを聞くしか生きる道はないのんだからなと離れた。

「あっちの船は魔力やら術が使える召喚獣を積むからな。反乱に備えて重装備だ」

 術使いも乗っているらしい。

 錨が巻き上げられた。

 しばらくはツルマイの灯から離れるように走る。朝になる頃、本格的に風をつかまえるとうことだが、三等客室に押し込められた。

 下には奴隷やら荷物だ。

 荷物一歩手前。


 

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