コインランドリー
コインランドリー。
くたびれた午後の光が薄汚れたガラス越しに差し込み、色褪せた世界を照らしている。
くるくると回る洗濯物――それは誰のものか、そんなことは知ったことじゃない。
けれど私は見ている。
ぼんやりと、意味もなく。
他人の夢を盗み見しているようだ。
見知らぬ誰かの下着、靴下、白いシャツ。
ありふれた日常の破片が、機械仕掛けの円舞曲に乗せられ、
無関心に、黙々と回り続けている。
私は孤独を抱えている。
いや、抱えるというのは大袈裟すぎる。
それはいつの間にか袖に紛れ込み、知らぬ間に洗われているようなものだ。
ぐるぐると、洗濯機の中で、私の孤独は回り続ける。
自分のものか、他人のものか、境目さえ曖昧になった孤独が、
誰かの悲しみに見えて目をそらした。
だが、回転は止まらない。
容赦なく、機械的に、まるで虚無そのもののように。
ああ、この回転が止まり、扉が開いたとき、
しわくちゃになった私の孤独が出てきたなら、
私はそれを抱きしめるだろうか。
それとも、忘れたふりをして、そのまま立ち去ってしまうだろうか。
人間など、結局そんなものなのだ。
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