scene.3

「いや!離してよ!いや!」

「いやいやうるっせぇぞ!少しは黙りやがれ!」


どうしよう。道の路地に連れてこられちゃった。ここじゃ助けも呼べない。どうしよう!いや!助けて!


「うへへへ。んじゃ払ってもらおうかな~。」

「いや!!い...むむんっむー」

「これで良し!完璧だぜぇ!まずはその顔をなめまわすか?」


口をふさがれたこれじゃもう...腕もつながれちゃったし。きもいよ。いやだ。助けて。誰か、助けて!...助けて()

 涙目になりながら、ただ祈るしかなかった。助けが来ることを...。


「うへへへへ。じゅるる!あー...」

「く...!」


ボン!


「痛ってぇ...!何しやがる!!」

「.....ん?」

「こんなところで、女の子一人いじめる、情けない大人たちをこらしめに来たんだよ!」


あれ?彼、公園で寝てた...あの人。


「もう大丈夫だ。ちょっとだけ待っていてくれ。あとで、拘束を解くからね。だから...安心して?」

「...うーうん」


なんだろう。助けが来てくれたって思うと、なんだか涙が止まらない。でも彼だけで、5人を相手にするのは、厳しいんじゃ...。


「このクソガキが!!...フゴッ!!」

ダン!ボカン!ドーン!

「なんだ...こいつ!み、みえねぇ!」


すごい。ほんとに。全部よけてはカウンターで高速パンチを決めてる。それに、人蹴りで大人一人を一気に吹き飛ばしてる。あんなの、そうとうムキムキマッチョじゃないとできないよ。...あ、後ろに誰か来てる。


「死ねやガキが!!」


ナイフだ!危ないよけて!


スッ、シュ!のけぞって、髪の毛だけ切れていた。


「いい加減に!!」


バキンっ!!


え...ナイフ折った。素手で。ほんとこの人なんなの?


「しっかりつかまっててよ?」


え?...えー!!


「よいっしょ!」


抱っこされちゃった。しかも、あの人たちみんな気絶してる。この人、ムキムキマッチョじゃん!彼の手の中で、ふと変な事を考えてしまった。いけないね。


_____________________


まぁよかったー。ひとまず助けれた。とりあえずさっきの公園で、拘束を解くか。腕に彼女を抱えながら、走って向かった。


 シュッ


「拘束を解いた。もう大丈夫だよ。」

「あ、ありがとう。...あなた、ムキムキマッチョ...」

「...え?な、なんて?」

「ムキムキマッチョ」


いやいやちょっと待て。俺をゴリラかなんかと勘違いしてるんじゃないか?


「いやいやーべつにそんな、マッチョって感じじゃないんだけど?」

「いや!マッチョ!でないと、あんな動きできないでしょ?人蹴りで大人ふっとばしちゃうんだから。」


あー。完全に勘違いしてるなー。


「あー...えーっと...なんていうか、身体のエネルギーをイメージで一点に集中させてるだけだからー...そんなムキムキってほど鍛えてた訳じゃ...」

「それって、魔力移動ってこと!?」

「なんだ知っているのか。...ってえ!?」

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