第7話 夜に咲く花時計「12時に咲く花が、忘れた記憶を呼び覚ます——。」
町外れの丘の上に、古びた温室がある。
そこには、決まって真夜中の12時にだけ咲くという、不思議な花があると噂されていた。
「花時計」
その名の通り、その花はまるで時計の針のように、夜の帳が降りると静かに蕾を膨らませ、そして12時ちょうどに開く。
——その花が示すものは、「最も大切な記憶」
そう言い伝えられていた。
ある晩、凛(りん)はその花を確かめるため、温室を訪れた。
彼女は幼い頃からここに通っていたが、花が咲く瞬間を見たことはなかった。
「今夜こそ——」
息を潜め、時計の針が12時を指すのを待つ。
そして、静寂の中で花が開く。
その瞬間、凛の脳裏に鮮やかな記憶が流れ込んできた。
それは、かつて大切にしていた人との思い出——
小さな手を引いてくれた、優しい少年の姿。
「——思い出した」
凛は、そっと咲いた花に触れた。
温かい涙が頬を伝う。
その瞬間、彼女は知った。
この花は「未来」ではなく、「過去」を示しているのだと。
そして、忘れてはならないものを教えてくれるのだと。
時計の針が進む。
花は静かに閉じる。
それはまるで、時間がまた動き出したかのようだった。
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