第38話

ミナは「えーだって」と眉を下げた。



「あの人はミナの友達じゃないもん」



ミナはいつだって正直者で、

憧れるくらい、ただふつうに生きている。




あの日、ひと粒以外は我慢できていたことが嘘みたいに、とめどなく涙が溢れてくる。




「え、えっ、そら?どうしたの?そらー?」


「う……」



さね先輩への気持ちも、

跳ぶのがだんだんこわくなっていたことも、

ヒーローなんかじゃないよって思っていたことも、

隼奈への感情も、

事故でより深まった闇の話も、


如月初雪にすくわれていたことも、




ぜんぶ、友達に話せばよかった。



そうしたらきっと、あの鳥たちは今でも空を自由に飛んでいた。


わたしもまた跳べたかもしれない。




間違えを犯したわたしはもう空想することしかできないけれど



「ミナの彼氏のプレゼント、一緒に選べなくてごめんね」


「本当だよお。でもなんか最近ケンカばっかりでつまんなくて別れそうだから、帰ってきたらウチのお買い物に付き合ってよね!」



今のわたしを変えられるなら

弱い自分を認めて、向き合って、ちゃんと優しくなりたい。




彼をすくえたわたし以上に。

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