第27話

明けない夜が迫ってくる。


だれにも追いつかれたくなくて、走って、跳んで、繰り返して、だれよりも練習した。



これって意味があるのかな。


だんだん足元から闇に浸かってく。




「そら子先輩が頼ってくれるなんてうれしいです」


「いつも頼りにしてたじゃん。気づいてなかった?」


「ええっ、そうだったんですか!?」



何度嘘をついても隼奈は気づかないしたぶん気にしていない。


彼女のなかにある余裕が、わたしには無いもの。



「そら子先輩ってどうしてハイジャンをはじめたんですか?」


「小学生の頃に一等賞をとれたのが高跳びだったから」


「カッコイ〜!私は鳥とか飛行機とか高く飛べるものに憧れてはじめました!」




嫌いだなあ。




「だから私、そら子先輩にも憧れてるんです」





いつか自分のほうが跳べるようになるのに?



そうなるってわかっているはずのに。


わたしはもう、自分のちからじゃ、イチナナヨンを超せない。


この人は逃げたんだって

思っているから溢れたせりふ。



半歩先を歩く短く切り揃った髪が揺れる。


なんで、わたしだったんだろう。



なんでわたしなんだろう。


なんでわたしだけが ―――

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