第25話

ミナのわがままなんて気にせずじっとしていればいいのに。



「さっきの、なんかウチが悪いみたいじゃんね。もっとさあ、言いかたとかあるじゃん。だから嫌われるんだよ。そらもそう思わない?」


「まあ、ひとりが好きなんだろうし、ちょうどよかったんじゃないかな。それよりミナ、今日なんか化粧薄いね」


「ギャ!そうなのっ。彼氏ん家から来たからさ〜。メイク道具ぜんぜんなくって」


「薄いのもかわいいよ。かわいく描けるかなあ」


「ウチもそらも絵苦手だもんね!」


「ねー」



ひとりで隅っこへ移動した如月初雪を横目に、本当にへんなひとだなって思った。



だって本当はちゃんと喋れるのに。

自分の意見も言うし、人の名前も呼べる。


他人とちがう部分だって個性に、特別にできるはずなのに、如月初雪はそうしない。



たぶん望んでいなくって。


ただ可もなく不可もなく生きてるだけって感じ。



何を楽しいと思って何を悲しいと思うのだろう。



わたしとはどこまでも正反対のものに感情が動くんじゃないかな。



わたしだったら、傷ついてしまう。


だからだれにも言わない。

言えない。

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