第25話
ミナのわがままなんて気にせずじっとしていればいいのに。
「さっきの、なんかウチが悪いみたいじゃんね。もっとさあ、言いかたとかあるじゃん。だから嫌われるんだよ。そらもそう思わない?」
「まあ、ひとりが好きなんだろうし、ちょうどよかったんじゃないかな。それよりミナ、今日なんか化粧薄いね」
「ギャ!そうなのっ。彼氏ん家から来たからさ〜。メイク道具ぜんぜんなくって」
「薄いのもかわいいよ。かわいく描けるかなあ」
「ウチもそらも絵苦手だもんね!」
「ねー」
ひとりで隅っこへ移動した如月初雪を横目に、本当にへんなひとだなって思った。
だって本当はちゃんと喋れるのに。
自分の意見も言うし、人の名前も呼べる。
他人とちがう部分だって個性に、特別にできるはずなのに、如月初雪はそうしない。
たぶん望んでいなくって。
ただ可もなく不可もなく生きてるだけって感じ。
何を楽しいと思って何を悲しいと思うのだろう。
わたしとはどこまでも正反対のものに感情が動くんじゃないかな。
わたしだったら、傷ついてしまう。
だからだれにも言わない。
言えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます