第5話 ゴーレムの改良
あれから数日が経ち、ゴーレムを10体ほど増産したことで魔石や他のドロップアイテムが集まってきた。
「だいたいがゴブリンのドロップアイテムだから、この辺りにはゴブリンが生息していることになる。だけどゴブリンが出てくるダンジョンなんかこの辺にあったか?」
というかそもそもこの辺にはダンジョンがなかったはずだ。だからこの土地を安く買えたはずなのに。
「やっぱり新しくダンジョンができた線が濃厚だよな」
まさかすぐ近くにダンジョンが、しかも世界がおかしくなってからできるとは……。今は魔石が欲しいから嬉しいけど、残念なことにほとんどドロップアイテムは使い道がないんだよなぁ。
「武器に使える素材だけど、ゴーレムは武器が装備できないし」
そんなわけで一部のドロップアイテムが一室で積み上げられている。ドロップアイテムは腐らないからできることだ。これで腐っていたら……考えたくもない。
「とりあえずドロップアイテムは良いとして、問題はゴーレムの方だよなぁ」
何が問題なのかというと、徐々に集まってきている魔石が少なくなってきている。これは近場のモンスターを狩りつくしてきたからだと思う。
「モンスターがいなくなるのはいいが、魔石が手に入りにくくなるのは困るな」
まあ近場のモンスターがいなくなったのなら、遠くのモンスターを狩ればいいだけの話だ。といってもゴーレムは足が遅すぎてそれが難しい。
「今のゴーレムに難しいなら、新しいゴーレムにすればいいよな」
それに元々考えてた改良、いや改造を施すチャンスだ。一応考えている通りにできたなら、今のゴーレムから大幅に進歩する。それこそ戦闘系ジョブに負けないくらいに。
「それじゃあさっそく図面を引いていくか」
鼻歌交じりに紙に図面を正確に引いていく。ここで長さをミスったらどうしようもないからな。慎重に、だけど慣れた手つきで進めていく。
「よしこれでまずはいいな」
できた図面にはそれぞれのパーツと全体図が描かれている。これを見るだけで何を作りたがっているか一発でわかる絵になっている。かっこいい二足歩行型ロボットだ。
「いやーゴーレム見て思ったんだよなぁ。これ実質ロボットじゃねって」
そんな独り言を呟きつつ、材料の土と水を混ぜ合わせて、それぞれのパーツを『簡易錬金』スキルで作っていく。このときにパーツの大きさを間違わないように注意する必要がある。
「よし、しっかり作れてるな。ポーション作成で慣れてたおかげで決めてた大きさ通りだ」
ポーション作成では薬草の大きさが違うから、薬効の調整が必要だった。大雑把でも作れはするが、改良ができないし無駄が出る。なので俺が教わった人は、しっかり分量を調整して調薬していた。
もちろん俺も同じようにやらされていた。その時に『簡易錬金』をしっかり制御する方法を学んだから、こうして初めての素材をパーツにしてもしっかりできている。
「それじゃあ組み立てていってと」
しっかりと嵌め込んで外れないかチェックしていく。このためにパーツの大きさをミリ単位で合わせる必要があった。
「よしできた!」
そこにはスタイリッシュなかっこいいロボットの模型ができあがっていた。ゴーレムのような無骨な感じもいいけど、俺はどっちかと言えばこういう感じの洗練されたデザインの方が好きだな。
「それじゃあ魔石を持ってきて、『錬金』!』
魔石がロボットの模型と合わさっていくごとに大きくなっていく。このときに魔石の魔力がムラにならないように全体に流していく。こうしないとムラができた部分が動かしにくくなったり、最悪の場合動かなくなる。
「ふー。これで完成だ!」
無事に完成して、ゴーレムとして動かしてみたがしっかり動いた。その時の歩行スピードはゴーレムと比べて重心は安定しているうえに、スムーズに脚を動かしていることで速かった。
「よし、まずゴーレムよりも性能が上なのは確定。改造は成功だ!」
まずは上手く改造できたことを喜ぶが、まだだ。次はこのロボットゴーレムは走らせてみる。地上を走らせて、カメラでその様子を見ることにしたがこれが上手くいかなかった。
走り始めるとすぐにコケてしまうのだ。これじゃあダメかと思ったが、次第に走れる距離が伸びていき、ついにはコケなくなった。
「おおー走れた! それにしてもなんで最初は走れなかったんだ?」
もしかして走り方がわからなかったのか? だから最初のうちはコケてしまっていたが、次第に学習していってコケなくなった。
「そう考えると、武器を持たせないほうがいいか?」
いや剣は無理でも棍棒とかなら大丈夫だろう。それに頑丈さだとゴーレムに負けるだろうから、素手で殴らせるのは止めたい。棍棒だったら適当な金属を『錬金』スキルで作れるからそれでまずはよしとしよう。
「本当だったら剣や槍を持たせる考えでいたけど、無理かぁ」
そのために武器を持たせれるように、手を付けてみたのに。ちょっとショックだ。
「増産しようと思ったけど中止かな?」
学習の必要があると面倒だから何とかしたいが、何も思い浮かばない。とりあえず護衛用としてなら十分な機動性だろう。これなら俺も外に出れそうだ。
「少なくなってきた材料もいくつかあるから集めないといけないし、明日になったら外に出るか」
あの時以外でドラゴンを見ていない。だから問題ないとして外に出る決断をする。そして外をカメラで見てみると、意外と時間が経っていたようで暗くなりかけだ。それ間はロボットゴーレム、いやロボットゴーレムじゃあ味気ないから、クレイワンと呼ぼう。
「お前はこれからクレイワンだ。それじゃあ周囲500mくらいのモンスターを倒してきてくれ」
これでよし、明日のための準備をしてから寝るか。
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